また、工事に支障となる樹木の伐採、移植、剪定に関しては、工事担当者と「緑の会」、「緑の会」が招く環境植栽学の専門家が、一緒に見て歩くことが要望され、当日および7月14日に実現した。

 カモやカワセミなどの野鳥、たぬきなど野生生物の生息環境への配慮などについては、工夫をしてみるという。

 住民への都職員の向き合い方は、筆者の知る国土交通省職員のそれとは違い、距離が近い。

 それでも、説明会を7月上旬に行ったことについては、「あまりに遅すぎる。工事開始が7月中旬なら、これは『通達式』に過ぎない」との苦言が呈され、その発言には多くの参加者が頷いた。

善福寺川緑地公園内、伐採予定の木を住民と都職員で確認(2023年7月8日、筆者撮影)

 「川底を深く掘ればいいという時代ではない」

 さらに先を見据えた質問や要望も飛び出した。善福寺川における河川工事の進捗率は現在61%に過ぎない。今後の未工事区間については、都がこれまで行ってきた河道掘削の代替案について、提案が行われた。

「(善福寺川緑地公園内の)野球場とテニスコートを2m掘り下げて遊水池化すると、貯水量3万m3の貯水池に匹敵するがどうか」という代替案には、第三建設事務所は「掘り下げて出てくる土砂を処理できない」と難色。

「宇都宮市の釜川や京都市の七瀬川などで行われてきた二層構造で、上は親水性のある川づくり、下は放水路化する工法を取れないのか」という提案には、「ハードルが高い」と即答だった。

「緑の会」の女性たちは、「すぐに『できない』と言わないで。私たちも勉強して提案しているんだから、何が難しいのか、検討した結果を教えて欲しい。川底を深く掘ればいいという時代ではない」と説得。都はその真摯な訴えを受け止めたのか、今後、検討結果を「緑の会」に伝えることになった。