パリ協定目標の達成に向けて各都道府県がすべきこと

CO2の削減には地域ごとの実情に合わせた対策がより効果的だ

2018.09.21(金) 重富 陽介、小川 祐貴
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53904
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今後の温暖化対策に向けて

 こうした厳しい状況を打開するためには、次のような地域ごとの選択と集中による温暖化緩和策を講じていくことが重要であると考えられます。

 今後の人口流出による排出減少が予想されるものの、1人あたりエネルギー消費量の変化が排出増加に寄与する多くの地域では、LED照明やエネルギー効率の良い家電製品への買い替えを後押しする政策が効果的でしょう。

 都市圏と比較すると高齢の世帯が多く平均賃金も低めの地方においては、エコポイントのような補助金や、東京都が実施している家庭におけるLED交換促進イベントなどを活用し、省エネ製品の普及を促進することも有効でしょう。

 これに対し、1人あたりエネルギー消費量の変化が排出減少に寄与している地域では、機器の買い替え促進以上の省エネ政策が求められます。例えば、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)のような、住居自体の省エネおよび創エネ設備を優先的に導入することがより効果的であると考えられます。

 こうした方策を支える隠れた、しかし重要な点は、我々一人ひとりが今以上に温暖化対策に自ら参加していくことです。そのために、各地方行政は、人々の温暖化対策や経済的なインセンティブの仕組みの理解を助け、行動を喚起する大きな役割を担っていると考えられます。

 今後ますます地方行政のイニシアチブが高まり、地域特性に基づく温暖化対策が実施されることが期待されます。

*1:2015年パリで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において合意された、2020年以降の気候変動に向けた国際的な枠組み。
*2:国立社会保障・人口問題研究所による日本の地域別将来推計人口および世帯数将来推計データ (都道府県別) に基づく。
*3:経済産業省による平成27年長期エネルギー需給見通しの電源構成に基づく。
*4:データの制約上、2030年度の削減目標値を2030年と読み替え、この年に対応する各将来値を利用。

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重富 陽介

(しげとみ・ようすけ) 1987年、京都生まれ。2016年3月、京都大学大学院エネルギー科学研究科博士後期課程修了。国立環境研究所リサーチアシスタント、日本学術振興会特別研究員DC2を経て、同年4月から長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科助教。専門は環境システム学、インダストリアルエコロジー。これまで温室効果ガスやその低減に重要なレアメタル資源を中心とする日本の家計由来のライフサイクル環境負荷の推計や、少子高齢化の進行に着目した世代間の社会公平性の可視化などに取り組んでいる。

小川 祐貴

(おがわ・ゆうき) 平成30年3月京都大学大学院地球環境学舎博士課程修了。博士(地球環境学)。京都大学「再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と地域的な経済波及効果に関する研究プロジェクト」にて、地域主体が自らエネルギー事業に参入することが、地域にとってどのような経済的メリットがあるのかを定量的に示す「地域付加価値創造分析」に取り組む。株式会社イー・コンザル研究員として自治体のエネルギー・環境政策の策定支援にも関わる。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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