パリ協定目標の達成に向けて各都道府県がすべきこと

CO2の削減には地域ごとの実情に合わせた対策がより効果的だ

2018.09.21(金) 重富 陽介、小川 祐貴
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53904
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都道府県ごとの温暖化目標の差異

 日本政府は家庭部門のCO2に関して、パリ協定目標*1の国内目標値(2030年度に2013年度比26%の削減)より厳しい同年度比39.4%の削減を目指しています。もし全ての都道府県で平等にこの39.4%という目標を達成すると仮定した場合、都道府県ごとに必要な省エネルギーレベルはどれほど違いがあるのでしょうか。

 ここでは、上でご紹介した要因分解に基づき、(d)以外の要因に対応する都道府県別の人口動態*2とCO2排出係数*3の将来値*4を利用することで、この問題を考えてみます。

 図3は、3つの異なる電源構成のケースごとに、2030年に各都道府県で必要となる1人あたりエネルギー消費量の削減率を表します。図中の緑の線(outlook case)は、2030年に政府の試算どおり22~24%の再生可能エネルギーが導入された電源構成下における削減率を示しています。また、丸(2010 case)とひし形(2015 case)はそれぞれ、仮に電源構成が2010年時および2015年時と同じであった場合に必要となる削減率を表しています。

図3:2030年のパリ協定に基づく排出削減目標に到達するために必要となる、都道府県別の1人あたり家庭エネルギー消費量変化の削減率(2015年比)
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 例えば、緑線が横軸より下にある(0%未満)の都道府県においては、2030年に現状(2015年)と同じ1人あたりエネルギー消費量の水準であっても、2015年からの少子高齢化に伴う世帯・人口減少や排出係数の改善により、家庭部門CO2の削減目標値に到達できることを意味します。

 しかしながら、図中の愛知県から奈良県までの24都道府県については、線が横軸より上にあります(0%以上)。すなわち、これらの都道府県では、将来の電源構成の改善と少子高齢化の進行を見込んでも、現状からさらに1人あたりエネルギー消費量を削減しなければ、目標の達成が困難であることが示唆される結果となりました。

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重富 陽介

(しげとみ・ようすけ) 1987年、京都生まれ。2016年3月、京都大学大学院エネルギー科学研究科博士後期課程修了。国立環境研究所リサーチアシスタント、日本学術振興会特別研究員DC2を経て、同年4月から長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科助教。専門は環境システム学、インダストリアルエコロジー。これまで温室効果ガスやその低減に重要なレアメタル資源を中心とする日本の家計由来のライフサイクル環境負荷の推計や、少子高齢化の進行に着目した世代間の社会公平性の可視化などに取り組んでいる。

小川 祐貴

(おがわ・ゆうき) 平成30年3月京都大学大学院地球環境学舎博士課程修了。博士(地球環境学)。京都大学「再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と地域的な経済波及効果に関する研究プロジェクト」にて、地域主体が自らエネルギー事業に参入することが、地域にとってどのような経済的メリットがあるのかを定量的に示す「地域付加価値創造分析」に取り組む。株式会社イー・コンザル研究員として自治体のエネルギー・環境政策の策定支援にも関わる。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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