米、医薬品メーカーに罰金40億円 依存性の高い鎮痛薬を大量供給

薬品の錠剤やカプセル。フランス・ナントで(2017年3月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/LOIC VENANCE〔AFPBB News

 ジャーナリズムNGO「ワセダクロニクル」の新シリーズ「製薬マネーと医師」が始まった(http://www.wasedachronicle.org/articles/docyens/e2/)。

 製薬企業の業界団体「日本製薬工業協会(以下、製薬協)」に加盟する71社が、2016年度に医師に支払った講師謝金やコンサルタント料266億円を対象とした大規模な調査である。

 調査は、ワセダクロニクルと医療ガバナンス研究所がタッグを組んで行われ、私も関わった。中心となったのは、ワセダクロニクルの編集長の渡辺周さんである。

 彼は、朝日新聞の記者だった頃から製薬マネーを追い続けてきた。

製薬マネーでゆがむ調査報道

 しかし、朝日新聞に限らず、多くの大手新聞社は、近年発行部数や広告料の減少に喘いでおり、広告主である製薬会社のあり方を追及するような調査報道が難しくなっているのだという。

 そのため、ジャーナリズムを追求するために自らが立ち上げたワセダクロニクルにおいて、製薬マネーを取り上げることは、渡辺さんの悲願だった。

 実は、製薬企業と医師の関係は、国際的にも非常に高い関心を集めている領域である。

 最大の理由は、製薬企業から医師間への金銭供与が、潜在的に患者の健康やウェルビーイングを損ねる可能性が徐々に明らかとなってきたことである。

 もちろん、製薬企業から金銭を受け取ること自体は誹りを受けることではない。

 しかし、このような形での金銭供与は、薬剤処方をはじめとする診療行為(DeJong et al., 2016)やガイドラインの策定(Choudhry et al., 2002)、学会などにおける学術活動(Rothman et al., 2009)、医学雑誌の編集作業(Liu et al. 2017)などを介して、製薬企業を利する可能性があると指摘されている。

 加えて、過去、製薬企業と医師の行き過ぎた関係は、繰り返し研究不正の温床となってきた。