実際、日本においても、2000年代後半から2010年代前半にかけてメディアを賑わしたディオバン事件の記憶は新しい。

 そのような失敗を反省し、製薬企業は医師への支払い額を、医師は製薬企業への利益相反を、公に申告することで、その関係性の正当性を担保しているのである。

 現在、このような情報公開の先端を走っているのは米国である。同国においては、2010年に「Physician Payments Sunshine Acts(サンシャイン法)」が制定され、製薬会社から医師に支払われた金銭の公開が、2014年9月から開始された(公開されたデータは2012年分より)。

 特筆すべき点は、ホームページ(https://openpaymentsdata.cms.gov/)の閲覧性の高さである。

情報公開の進む米国、後れる日本

 ホームページの検索欄に、該当する医師の名前を入力するだけで、当該医師が、製薬企業や医療機器メーカーから受領した金銭の総額、さらに、関連企業の株の所持といった情報を簡単に確認できる。

 ぜひ一度ホームページを訪問して、ユーザーフレンドリーなプラットフォームを体感してほしい。このような情報公開の姿勢の根底にあるのは、「主治医と製薬企業の関係を一般の国民が分かるようにする」という極めて明快なコンセプトである。

 また、データの2次利用も簡便であり、その解析により、すでに多くの研究が、名だたる医学雑誌に発表されている。

 最近、私はこの問題に取り組んでいる米国の著名な医師に話を聞く機会があった。

 彼は、「すべての医師は、望んで製薬企業との関係をチェックされるべきだ」と語っていた。医師自らが自分の行動を律しようとする「Professional autonomy」のあるべき姿と感じられた。

 では、日本はどうか。実は、日本においては、サンシャイン法の実施に先駆けて、2012年に、製薬企業から医師に支払われる金銭データの公開が開始された。

 これは、製薬協が中心となって策定された「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」のもとに発展した流れである。