孤独死、そして突然死は人ごととは限らない。

 死んだ後、遺体が誰からも発見されずに数日後に発見される「孤独死」の増加*1が社会問題になっている。

 2016年の年間死亡者数が130万7748人。全死亡者のうち、自宅で亡くなった「在宅死」の割合は13%で16万9400人。その半数以上が孤独死と推測されている。これは、自殺者の2万1017人*2をはるかに上回る人たちが警察署に運ばれ、解剖台で看取られているということだ。そして、その約7割は男性である。

*1:東京都監察医務院では「異常死のうち、自宅で亡くなられた一人暮らしの人」と定義されている。
*2:厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」による。警察庁の発表では2万1897人。

孤独な在宅死の実態

 ――在宅で亡くなる人は増えている?

長尾和宏氏(以下、敬称略) 死亡者数全体の中で、在宅で亡くなる方は約13%、つまり100人に13人が自宅で亡くなるという計算です。

「在宅死」というと、家族に囲まれて最期まで惜しまれながら看取られる穏やかな死に方をイメージするかもしれませんが、すべての人がそのような穏やかな最期ではありません。都市部では、その半数以上に警察が介入しています。

 警察が取り扱う死体のうち、犯罪絡みのものは0.3%、犯罪の疑いがある死体が12%、残りが犯罪とは関係なく送られた死体です。それらの遺体との対面は、警察の遺体安置所や解剖台の上なのです。

 自宅で一人ひっそり亡くなるということも少なくありません。浴槽で大便まみれになって発見されたり、発見から時間が経って、人の区別がつかないぐらい腐乱していることもあります。