しかし、このような形での情報公開を行うことを前提に、勉強会の講師や原稿の執筆といった仕事を依頼し、一方で、情報公開に同意しない医師とはお付き合いしなければいいのではないだろうか。

 現代社会においては、医薬品の有効性や副作用といった情報に容易にアクセスすることが可能である。再現可能な効能があり、患者にメリットがある薬剤であれば、立場ある方々にわざわざ依頼して宣伝を行わなくとも、多くの善意ある医師は、処方するはずである。

 また、医師の責任も大きい。医師が持つ処方権は極めて強い権限である。

 前述の米国の医師の言葉にもあったが、私たちは、製薬企業と自らの関係を進んでチェックされるべきである。

 医療費の大半は国民皆保険制度によって支払われており、その費用を負担するのは国民である。製薬企業と医師が適切な関係を結ぶうえで、情報公開に対しての医師の考え方も変わっていく必要があるだろう。

 ワセダクロニクルの新シリーズ「製薬マネーと医師」は始まったばかりである。私たちも独自の視点でこの問題に切り込んでいきたいと考えている。

参照

Choudhry et al. (2002) Relationships between authors of clinical practice guidelines and the pharmaceutical industry. JAMA 287: 612-7.
Delong et al. (2016) Pharmaceutical industry-sponsored meals and physician prescribing patterns for medicare beneficiaries. JAMA Intern Med 175:1114-22.
Liu et al. (2017) Payments by US pharmaceutical and medical device manufacturers to US medical journals: retrospective observational study 359:j4619.
Rothman DJ et al. (2009) Professional medical associations and their relationships with industry. JAMA 301:1367-72.