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食べ残しはどこへ行く? 食品リサイクルの現状

2018.03.02(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 食品リサイクルで古くから行われているのは、てんぷら油やサラダ油など食用廃油を回収し、飼料や工業用油脂として利用する仕組みだ。工業用油脂は塗料や石鹸、燃料の一部として利用されている。

注目されるメタン化

 食品廃棄物のリサイクルの難点は、廃棄物につまようじや紙、プラスチック容器などが混じることだ。食品製造工程の廃棄物や調理クズでは、このような夾雑物が混じることがないので肥料や飼料にしやすいが、売れ残りや食べ残しなどの廃棄物には、夾雑物が混じることが多い。分別もかなりの手間で、大量の廃棄物の中に混じったつまようじを取り除くことなど、不可能に近いだろう。

 しかし、メタン化なら飼料化や肥料化に比べて、比較的分別が粗くても行える。

 メタン化とは、動植物性残渣(ざんさ)など有機性廃棄物を、嫌気性細菌によってメタン発酵させることである。メタン発酵により発生するバイオガスは、メタンを約60パーセント含み、熱源や発電用の燃料として利用できる。また、バイオガスで発電した電気は、2012年度から開始された再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)を利用して、売電できるようになったこともあり、メタン化に対する注目が高まっている。

 ただし、メタン化の設備を導入するにはコストがかかる。メタン化の残渣である消化液は液肥として利用できるが、農作地の少ない場所では液肥の使い道はあまりないだろう。利用できなければ排水処理をして放流することになり、コストがかかるので、消化液の利用法の検討が求められている。

 こうした食品リサイクルにより、2014年の食品関連事業者が排出した食品廃棄物1953万トンのうち、1350万トンは飼料や肥料などにリサイクルされた。おそらく、廃棄された恵方巻も飼料や肥料になっているはずだ。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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