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食べ残しはどこへ行く? 食品リサイクルの現状

2018.03.02(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 食品ロスに対する国際的な関心も高まっており、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でも、食料の損失や廃棄の削減が目標として設定された。農林水産省は食品ロス削減に向けた「食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)」を展開している。

飼料化、肥料化、油脂として工業利用も

 食品廃棄物には、加工食品の製造や流通などの過程で生じる売れ残りの食品や、消費段階での食べ残し、調理くずなどがある。以前はこうした廃棄物を焼却や埋め立て処理をしていたが、廃棄物処分場の不足や処理コストの増大から、2000年に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」という法律を制定し、食品廃棄物の発生や削減を目指している。

 食品リサイクル法では、食品製造業や卸売業や小売業、外食産業などの食品関連事業者を対象にし、まず発生を抑えることを基本にするが、発生した廃棄物はリサイクルが優先される。

 食品廃棄物は有機物が多く、栄養価が高いことを特徴とする。その栄養価を有効に活用できるのは、畜産や水産養殖用などの飼料にすることだ。食品関連事業者から出された食品廃棄物は、産廃業者などの飼料化施設に運ばれ、飼料の中間製品や飼料にする。

 一方、初期投資が少なくて済み、技術のハードルがあまり高くないのが肥料化だ。学校給食センターなどの公共施設、集合住宅、スーパーやデパート、ホテル、レストランなど生ごみがたくさん集まるところでは、生ごみ処理機を設置して堆肥にしたり、機器を設置せずに、生ごみをそのまま堆肥メーカーや農家などに引き渡していたりしている例がある。スターバックスコーヒージャパンは複数の業者と共同で、大量に出るコーヒーの豆かすを飼料や肥料にし、さらにそれを自社で使う牛乳や野菜の生産に用いるという、リサイクルループを完成させている。

近郊の農園などでは、生ごみ処理機により堆肥をつくる様子も。
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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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