似て非なるものだったらしい戦前のロールキャベツ

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(4)ロールキャベツ

2018.01.26(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要
ひき肉などのたねを葉で包んで煮込むと、ロールキャベツに。

 1935(昭和10)年創刊の月刊誌『栄養と料理』(女子栄養大学出版部刊)の2号目から付録についたのが1枚の小さなカード「栄養と料理カード」。健康に留意したおいしい料理が誰でも作れるように、材料の分量や料理の手順、火加減、加熱時間、コツなど納得のいくまで試作を重ね、1枚のカードの表裏に表現。約10×13cmの使いやすい大きさ、集めて整理しやすい形にして発表した。
 この「栄養と料理カード」で紹介された料理を題材に、『栄養と料理』に約30年にわたり携わってきた元編集長が、時代の変遷をたどっていく。

 野菜の高騰が続くとほとほと困る。昨秋の台風や長雨の影響のようだ。例年であれば、霜が降りるこの時期は、ほうれん草や小松菜などの葉物も、大根やごぼうなどの根菜も、寒さから身を守るために中身を充実させる。

 冬キャベツもそう。身が締まって滋味豊か、ロールキャベツなどの煮込み料理にもってこい。が、残念なことに今冬はまだ1回も作っていない。

 じっくり煮込んで箸で切れるほどトロトロになったロールキャベツは、肉のうま味と野菜の甘味が凝縮してホッとする味わい。わが家ではカレーやおでんなどとともに、残業で帰宅が遅くなる日のためによく作り置く料理の1つだ。

 近ごろのキャベツは、2分の1個や4分の1個の切り売りが当たり前になったが、これでは通常のロールキャベツは作れない。丸ごと1個を買う。芯をくり抜いて1枚ずつ丁寧にはがし、軸は薄く削って平らに。それにより生じる切れ端も、香味野菜のにんじんや玉ねぎ、セロリとともに薄切りにし、ベーコンも加え、キャベツのゆで汁を煮汁としてロールキャベツを煮込む。好みは塩とこしょうでご飯に合う味つけ。風味づけでしょうゆを加えることもある。

 キャベツが日本に伝来したのは18世紀初頭の江戸時代、当時は観賞用(葉牡丹)だった。食用として栽培が始まったのは幕末以降。明治末期には一般にも広がりはじめたが、第二次世界大戦後、食の洋風化に伴い急速に消費量が増えたそうだ。意外に新しい野菜といえる。

『栄養と料理』の中に、ロールキャベツを探すと・・・。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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