OPEC総会よりも心配なサウジのメルトダウン

絵空事ではない原油供給ストップ、日本の備えは大丈夫か

2017.11.24(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51682
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 2015年12月、メルケル首相直轄の情報機関が「ムハンマド氏は中東地域のトラブルメーカーになる」とのレポートを国会議員に配布するなど、ドイツの政府関係者はムハンマド皇太子に対して警戒的だった。腹を立てたサウジアラビア政府は18日、駐ドイツ大使の召還を決定したが、ドイツのムハンマド皇太子への批判は強まるばかりだろう。

 一方、米国のトランプ大統領は、王族らの汚職逮捕について即座に「支持する」と表明した。しかし、米国務省の元外交官は米フォーリンポリシー誌最新号に「サルマン国王と皇太子の親子に露骨に肩入れするトランプ大統領の無防備さが米国と中東の未来をリスクにさらした」と警告する内容の論文を投稿している。米CIAは、アルカイダ掃討作戦の戦友だったナイーフ前皇太子を今年6月に解任したことに激怒していると言われている。

 このような情勢下で中国外務省は11月16日、「習近平国家主席はサウジアラビアのサルマン国王を支持する」旨を電話で表明したことを明らかにした。サウジアラビア政府高官は10月30日、「核開発計画の一環としてウラン濃縮に着手する」意向を明らかにしている。中国はサウジアラビアに独自の原子炉を売り込むなど、最大のサポート役となる可能性が高い。

国王就任を強行すると何が起きるのか

 11月に入りサルマン国王は皇太子への譲位に理解を求めるために、実弟であるアハマド王子を呼び出した。そうした異例の行動があったため、汚職逮捕劇後に「48時間以内に王位継承が行われる」との憶測が流れた。だが、その予想は再び外れた。

 王位継承が行われなかったのは、「イエメン」問題をはじめムハンマド皇太子がこれまでの失政を反省する姿勢を示さないからではないだろうか。

 ムハンマド皇太子は国内では数千人に及ぶ王族の大半を敵に回し、海外では「核疑惑」を含め欧米の情報機関から問題視されている。そんな皇太子が国王就任を強行すれば国内で内乱が勃発する、との懸念は「杞憂」ではなくなっている。そうなれば原油価格は1バレル=100ドルを超え、最悪の場合、サウジアラビアからの原油供給がストップすることもありうる。日本はその備えが万全だろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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