なお、誤解のないように触れておくと、政府の規制が入った後も、基本的に各プレイヤーを駆り立てているものは、ビジネスベースの動機がメインと言っても差し支えない。中国ではここ数年で正規版コンテンツの配信が大きく進んだ。一例として、2015年の日本のアニメコンテンツ373作品のうち、80%近い289作品が中国で正規版配信されている。完全に0とまでは言えないが、海賊版も著しく減少した。

 この背景には、政府方針というよりは、海外上場に伴う取引所・投資家からのガバナンス強化のプレッシャーや、大手同士の版権争奪競争・叩き合いで海賊版排除が進んでいったことがある。今では中国大手企業は、他社版権を正規入手して海賊版を排除するだけでなく、自社でIP(知的財産)を創出して利益を上げるフェーズにまで来ている。筆者(板谷)自身も、中国コンテンツ業界に7年近く関わっているが、その急激な変貌ぶりには驚くばかりである。

日本のアニメコンテンツは80%近くが正規版として配信済
(出所: DI分析)

□(事例2)配車アプリ
 :市場形成・主要プレイヤー登場の「5年後」に規制を開始

 もう1つ、比較的最近の例として、配車アプリを見てみよう。こちらも、2010年6月にサンフランシスコでUberが誕生してから、数多くのコピーキャットが中国で生まれた。

Uber登場後に、中国内で同様のサービスが数多く誕生
(出所: Legend Capital提供資料)

 当初はオンライン動画サイト同様に、有象無象のプレイヤーが参入していたが、次第に滴滴出行(Didi)のような巨大プレイヤーが誕生してくると、既存業界との摩擦も加速していく。タクシー運転手が配車アプリのハイヤー車両を破壊する事件も起き、メディアも中央政府の放任を批判的に報じ始めるようになっていた。

滴滴出行(Didi)登場による既存業界とメディアからの反応
(出所: Legend Capital提供資料)