結局、中国政府は、有力プレイヤーがほぼ滴滴出行1社(シェア80%超)に絞られた、市場形成の「5年後」に規制適用に動き出した。

 具体的には、サービス改善と安全性向上のための制度として、2016年11月に「インターネットタクシー経営サービス管理規定(网络预约出租汽车经营服务管理暂行办法)」を導入。

 その中で、ドライバー側の規制として「営業都市の戸籍保持」「免許取得3年以上、無犯罪」、車両側の規制として「営業都市の現地登録車」「運行記録装置・GPS・緊急通報装置の常設」「60km未満走行、8年未満」といった条件を付与していった。特に、「営業都市での戸籍保持・車両登録」はハードルが高く、当時上海で滴滴に登録していた41万ドライバーのうち、該当者が3%しかいないということも大きく報じられた。これも、ドラスティックな規制をかけるのであれば、少数の絞られたターゲット企業に対して行う方が効率的、という政府の意図が垣間見える。

□(事例3)シェアリングエコノミー
 :サービス開始2年以上だが規制なし(いずれ適用されると予想)

 最後の事例として、まだ規制適用に至っていない、最新の事例を見てみよう。シェアリングエコノミーがその代表である。

 2014年10月に始まった「回家吃飯」は、自家製料理の販売プラットフォームである。料理の達人が、自分が作れる食品をプラットフォームに上げ、決められた時間に調理・配達してくれるサービスだ。「キッチン共有」のコンセプトで、新たなシェアリングエコノミーモデルに位置付けられている。北京、上海、広州、深セン、杭州などの大都市でサービスを実施しており、利用客数は100万を突破。創業チームにはアリババ、京東、テンセント、百度といった大手ネット企業の出身者を擁する。

いまだ放任状態にある「キッチン共有プラットフォーム」の「回家吃飯」
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 しかし、この「回家吃飯」にもアキレス腱が存在する。中国では、食品関連業を営むためには食品安全法に基づいた「餐饮许可证」が必要であるが、このサービスではその管理がなされていない。実際に、既に2016年3月には、北京の監督当局がメディアを通じ、「回家吃飯」のように個人のキッチンで調理・販売する行為は違法であることを明らかにしてしまっている。