ただ、ここからが中国のベンチャー業界の面白いところである。同社は監督局の違法意見表明にもかかわらず、2016年7月には1600万ドル(約18億円)のBラウンド資金調達に成功している。業界関係者も「違法とはいえ、実際に調査・検挙がまだ行われてはいない。多くの人が商売しているがまだ何も問題は無い」とメディアに語っている。

 市場が完全に形成されるまでは、政府としてはまだ「放任」フェーズのため、まずは行けるところまで突っ走るべき、逆に言うと規制対象になるくらい大手にならないと意味がない、という暗黙のルールが存在していることがここでも見て取れる。

 同様に、日本を含む海外進出で話題のシェアリング自転車(コネクテッドバイク)についても、全く同じことが言えるだろう。レンタルした自転車を「どこでも乗り捨て放題」というのは、日本人からするとまさに放任状態そのものに見えるが、次第にmobike(テンセント系)とOfo(アリババ系)に集約されてきている中、いつかは何かしらかの規制が適用されるものと予想される。

□外資に特別に不利な市場?

 最後に「規制」というトピックを扱っている以上、「外資規制」、特に「国内産業保護」の視点についても触れざるを得ないだろう。ただし、このトピックだけで数回の記事になってしまうため、ポイントのみ絞ってお伝えする。

 筆者の基本的なスタンスとしては、「国内産業保護」の視点は確かに存在するし、実際に外資が活動できない/しにくい領域が存在するのも認めるが、一方で2点強調しておきたい。

 1点目は、「国内産業保護」と思われている文脈でも、実際は、半分が「言論統制」の文脈、半分が「自由競争の結果」であるケースが多いということだ。Facebookは「アラブの春」、LINEは香港独立機運といった、中国政府の支配を脅かす象徴的イベントによって遮断されているし、Googleが遮断されたのも、百度を助けるためでなく、中国政府の検閲を受け入れなかったからである。「結果的に規制されているのだから変わらないじゃないか」という声ももっともであるし、中国の言論統制を支持する意図はないが、念のためお伝えしておく。

 また、Amazon、eBayはそもそも規制下になかったが、純粋な競争の結果、アリババに後塵を拝している。滴滴出行(Didi)とUber Chinaも同様にして、滴滴に軍配が上がっている。さらに言うと、仮にFacebook、LINEが規制されていなかったとして、テンセントを凌駕する存在になれていたかというと、果たしてどうだろうか?