時は決して歩みを止めることはない。1人のリビジョニスト(修正論者)が11月20日、世界でも最も気候の良い都市の1つであろう米サンディエゴで静かに息を引き取った。チャルマーズ・ジョンソン氏である。

1人のリビジョニストの死、それは時代の変化を告げる

今週のランキング
順位 タイトル
1 900兆円を超えた国の借金、
「それでも日本は大丈夫」という話は本当か
2 中国海軍を震撼させる、日本の秘密兵器
3 空中分解間近の中国、有識者は脱出始める
4 第2の天安門間近? 胡錦濤の深い悩み
5 アナーキー・イン・ザ・ニッポン、日本の大人たちへ
6 中国が尖閣諸島を絶対に欲しい理由
7 未知の領域に踏み込む日本
~The Economist 日本特集(1/10)~
8 ロシアは日本が大好き、でも中国は警戒
9 中国が対日強硬姿勢を崩し始めたのはなぜ?
10 下り坂の日本経済
~The Economist 日本特集(3/10)~
11 中国は日本の粉ミルクが欲しい!
12 北朝鮮問題:悪夢のシナリオ
13 日本の将来:ジャパンシンドローム
14 もう幕を閉じたら?「日本カー・オブ・ザ・イヤー」
15 中国の買収:ドラゴンに食われる企業
16 韓国史上空前の名ドラマ、驚きの結末へ
17 「中国価格」に大きな異変
18 欧米女性が日本にうっとり、大人気のパリ写真展
19 インサイダーとアウトサイダー
~The Economist 日本特集(4/10)~
20 日本の政治に見る世代交代
~The Economist 日本特集(2/10)~

 早速、彼についての記事が届いた。谷口智彦さんの「チャルマーズ・ジョンソンの死」と英フィナンシャル・タイムズ紙の「アジアが西側と同じ発展を目指すとは限らない」である。

 リビジョニストについては今さら解説する必要もないと思うが、この際だから、少しだけかつての日本の“栄光”を懐かしく思い出してみたい。

 今から50年前に始まった朝鮮戦争が3年で休戦を迎えたあと、米国とソ連をそれぞれ頂点に東西は冷戦状態に突入する。米ソは激しい軍拡と宇宙開発競争に乗り出した。

 軍隊を持たない日本に対して米国は、軍事力にって西側諸国に貢献させるのをあきらめ経済発展を優先させる政策を採る。

 日本は産業の保護が容認され、電機、自動車、機械などの産業が急速に成長する。

 しかし、1970年代後半から80年代にかけて、競争力をつけた日本企業は米国の企業との間で産業摩擦を起こす。

 とりわけ自動車は欧州が高率の関税をかけていたこともあって、自由貿易を原則とする米国に向かって“洪水”のような輸出が始まった。

 一方、日本は既に世界第2位の経済大国に成長していた。日本市場という恩恵を日本企業は独占することになった。

 世界第2位でさらに拡大を続ける市場と米国への輸出のおかげで同業他社が林立しても企業経営が成り立ったのだ。結果として国内企業の過当競争で日本市場は飽和状況となり、関税がなくても米国企業が入り込める隙がなかった。