昨年に引き続き、今年もまたパリの写真サロン「PARIS PHOTO」の様子をお伝えしようと思う。前々回の記事で、11月はパリの写真月間であることに触れたが、数あるイベントの中でも、その核となるのがこの「PARIS PHOTO」。
日本の作品に高い評価
18日から21日までの4日間、ルーブル美術館に隣接する多目的ホールに世界中から写真ギャラリーが集う。
平日の午前中でもかなりのにぎわいを見せる会場で1年ぶりに再会したこのイベントの総指揮官ともいえるギヨーム・ピアンス氏は、私の顔を見るやいなや、「日本作品の評判が、すごくいいですよ」と、握手をするよりも早く、そう勢いこんだ。
今回が14回目となる「PARIS PHOTO」では、一昨年からテーマ国を決めて、その土地の写真家やギャラリーの作品にスポットを当てた展開をしており、今年は東欧がそれに当たる。アンドレ・ケルテス、ブラッサイ、ロバート・キャパ・・・。
写真にさほど詳しくない方でも、名前は耳にしたことがあるかもしれないこれら歴史的写真家たちは、いずれも東欧の出身ということで、会場には、彼らのヴィンテージプリントが多く見られた。
そして、ピアンス氏も言ったように、特に目を引いたのが、昨年にも増して日本人写真家の作品の多いこと。
世界中の収集家たちからお褒めの言葉
「大コレクターや、インスティチュートの方々からお褒めの言葉をいただいているくらいです。『日本の存在感は重要だね』と」
ピアンス氏自身が大変な親日家でもあり、招待国というトピックを初めて導入した年、2008年は、その対象が日本だった。
「その後もbelle histoire(美しい物語)が続いているわけで、これはほんとうに喜ばしいことです」と、写真の世界マーケットでは、いよいよ日本がモテモテという状態らしい。
ちなみに、彼が言う大コレクターや、インスティチュートとは、米国にある多数の美術館やエルメス財団、個人の資産家などを指す。