それは尖閣諸島で中国人船長が逮捕された以上の衝撃だったに違いない。約20年前の天安門事件で有名になった中国人の活動家、現在懲役11年の刑で服役中の劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞してしまったことである。

ノーベル平和賞に中国政府が激しく反発

今週のランキング
順位 タイトル
1 日本企業買収に走る中国企業
2 尖閣事件をよそに日本館がダントツ人気の現実
3 日本は世界最悪の「格差社会」である
4 中国に住む日本人に大恥かかせた日本政府
5 アジアの脅威、中国軍の実力を徹底分析
6 中国外交:巨人の鼻に突っ込まれた槍
7 開いたパンドラの箱、日中の緊張は常態化へ
8 ロシアで人気沸騰の日本食
9 トヨタよ、日本株式会社を経営してくれ
10 インド人の見る尖閣問題
11 定年後に待っている妻からの仕打ち
12 横行闊歩し始めた中国を警戒せよ
13 岡崎議員は見て見ぬふりなのか、中国が北朝鮮女性の人権を蹂躙
14 宮古海峡を堂々と通過した中国海軍の真意
15 尖閣諸島の次は、沖縄領有に照準合わす中国
16 ついに弾けるか、上海不動産バブルがカウントダウン?
17 日本とロシアは「対中国」で結束できる
18 中国漁船に衝突を指示した黒幕は誰か
19 今こそ日米同盟を深化させる絶好の機会
20 パリで大激論、村上隆・ベルサイユ展覧会

  劉氏の受賞の可能性が数週間前に伝わるや、中国国内では「ノーベル賞」というキーワードでの検索に何も結果が出てこないようになったという。

 そして、受賞が伝えられると米CNNの中国からの全世界への生中継は突然回線が切れてしまった。

 また中国政府は早速、「今回の受賞はアルフレッド・ノーベルを冒涜するものだ」という声明を出し、ノルウェーと中国は深刻な関係に陥るとの脅しまでしてみせた。

 JBpressの中国コラムニストである宮家邦彦さんの言葉を借りれば、「中国が最も大切とする面子が丸潰れになってしまった」わけで、当然と言えば当然の対応だろう。

 宮家さんの最新記事「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」でも、中国の行動原理は「面子」にあることがよく分かる。

 日中間だけだと、「中国の面子を日本がきちんと理解して対応しないといけない」というような日本の責任論になってしまいがちだが、世界からすれば、「中国が異常」と映っていることになる。

 それでも外交上手の中国は、国際会議が相次ぎG7も開催されるタイミングでギリシャの支援をしてみたかと思えば、イタリアにも投資の約束をするなど、いわゆる「微笑み外交」に余念がなかった。

 しかし、そうした外交も、唯我独尊の真の姿が見えるようになっては、世界からは警戒を持ってしか対応されなくなっている。宮家さんの「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」の記事で紹介されているように、中国の微笑みは化けの皮であることを自ら証明しているからだ。

 2007年にフランスのニコラ・サルコジ大統領は中国を訪れ、胡錦濤国家主席との間で原子力発電関連で300億ドルにも及ぶ大商談をまとめた。世界最大の原子力産業グループであるフランスのアレヴァはこの商談に沸き立った。