それは尖閣諸島で中国人船長が逮捕された以上の衝撃だったに違いない。約20年前の天安門事件で有名になった中国人の活動家、現在懲役11年の刑で服役中の劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞してしまったことである。
ノーベル平和賞に中国政府が激しく反発
劉氏の受賞の可能性が数週間前に伝わるや、中国国内では「ノーベル賞」というキーワードでの検索に何も結果が出てこないようになったという。
そして、受賞が伝えられると米CNNの中国からの全世界への生中継は突然回線が切れてしまった。
また中国政府は早速、「今回の受賞はアルフレッド・ノーベルを冒涜するものだ」という声明を出し、ノルウェーと中国は深刻な関係に陥るとの脅しまでしてみせた。
JBpressの中国コラムニストである宮家邦彦さんの言葉を借りれば、「中国が最も大切とする面子が丸潰れになってしまった」わけで、当然と言えば当然の対応だろう。
宮家さんの最新記事「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」でも、中国の行動原理は「面子」にあることがよく分かる。
日中間だけだと、「中国の面子を日本がきちんと理解して対応しないといけない」というような日本の責任論になってしまいがちだが、世界からすれば、「中国が異常」と映っていることになる。
それでも外交上手の中国は、国際会議が相次ぎG7も開催されるタイミングでギリシャの支援をしてみたかと思えば、イタリアにも投資の約束をするなど、いわゆる「微笑み外交」に余念がなかった。
しかし、そうした外交も、唯我独尊の真の姿が見えるようになっては、世界からは警戒を持ってしか対応されなくなっている。宮家さんの「江戸の仇は長崎で討て、これぞ中国流」の記事で紹介されているように、中国の微笑みは化けの皮であることを自ら証明しているからだ。
2007年にフランスのニコラ・サルコジ大統領は中国を訪れ、胡錦濤国家主席との間で原子力発電関連で300億ドルにも及ぶ大商談をまとめた。世界最大の原子力産業グループであるフランスのアレヴァはこの商談に沸き立った。