バイオマス発電、2016年から急増の見込み

遅れてきた再エネ業界の主役

2015.06.11(木) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43993
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 具体的には、利用率が低い国内の間伐材などを利用する(2)(3)の方式はIRR(内部利益率)8%と高利回りが保証されている。

 一方、既に活用が進んでいる下水汚泥や糞尿を利用する(1)のメタン発酵ガス方式の発電はIRR1%と、コージェネレーションシステム(注:発電の際の排熱も回収して利用するシステム)を導入しなければほとんど利益が取れない設定になっている。その他、(4)~(6)の方式は間を取ってIRR4%が想定されている。

 当然の結果として我が国のバイオマス発電の投資は、国内の未利用木材を使う方式に集中することになっており、国内の木材の価格がじわじわと上がってきている。特に影響を受けているのは低質のスギで、小丸太の価格が2013年1月の8600円から2015年1月には1万2400円に値上がりしている。

 現状ではその他の部門で木材価格の激しい値動きは見られないものの、農林中金総合研究所の試算によると、2016年には427万トンの未利用木材の需要に対し、供給は412万トン程度に収まると見込まれている。在庫が尽きる2017年~2018年頃から供給不足が顕在することが見られており、「2016年問題」としてバイオマス発電業界で燃料不足が危惧されている。

迫られる輸入型への転換

 未利用材の供給量は林業の動向に左右されるので、バイオマス発電事業者として「2016年問題」に対して打てる戦略は、シンプルに「輸入材の活用」ということに限られる。現状バイオマス発電において利用される主要な輸入材は「PKS」(パーム椰子がら)だ。この取扱量がここ数年で急速に伸びている。

 2012年には26211トンから、2013年には131244トン、2014年には244178トンといった具合だ。2015年も1~4月の間で130036トンが輸入されており、倍々ペースで輸入が膨らんでいる。

 間伐材の供給制約は長期的なものであるため、国内でのバイオマス発電は、2017~2018年頃から徐々に間伐材が中心のものから、輸入材が中心のものに移っていくことが見込まれる。

 実際、経済産業省の2030年の電源構成目標では、現在主流の未利用間伐材等を利用した方式が24万kWなのに対して、一般木材(輸入材)・農作物残渣を用いた方式が274万~400万kWと10倍以上の目標が掲げられている(参考:「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)関連資料」、資源エネルギー庁)。1000kW相当の発電所で年間7000~7500トン程度のPKSが必要とするとされており、これを仮にPKSで全て賄うとすると2000万~3000万トン程度のPKSが必要となる。

 他方でインドネシア、マレーシアにおける年間のPKSの生産量はそれぞれ750万トン、550万トン程度とされており、すべてのPKSを日本が輸入したとしてもバイオマス発電の燃料はまかなえなくなる。そうなると必然的に日本企業はPKS以外の権益を確保するために、東南アジアにおいてもっぱらバイオマスの資源需要を賄うためだけに、資源作物のプランテーションを行う必要に迫られてくることになると考えられる。

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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