ロシアへの経済制裁がもたらすEUのエネルギー危機

米国がロシアに譲歩、EUは梯子を外される形に

2015.05.22(金) 藤 和彦
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 今回の会談では米露首脳会談実現に向けた調整は行われなかったとされているが、「11月のトルコ南部アンタルヤで開催される20カ国・地域(G20)首脳会談などの場で両首脳が接触するのではないか」との観測も出ている。

経済制裁を仕掛けているEUにも打撃

 ロシアのラブロフ外相が「現存する多くの喫緊の問題が解決するかどうかは、米露が国際舞台で十分に調整し協働していけるかどうかにかかっている」と応えたように、両国の間には「通常の協力関係に戻ることが必要」との理解が生まれた兆しが見てとれる。

 ケリー長官は、欧米諸国がロシアに課した経済制裁の緩和・解除に言及した。今後、それをどう実現させていくかが、今後の両国関係を占う大きな試金石となる。

 経済制裁は、対象国が国外から入手していた物質等を欠乏させることによって国内的な問題が生じることを狙った措置である。外交的な圧力では不十分だが武力の行使までは考えにくいという状況で使い勝手のよい政策手段であるとされている。米国政府は冷戦終結後の1990年代から経済制裁を多用するようになった。

 だが今回は、「プーチン大統領の対ウクライナ政策を最終的に変えさせることができるコストの安い政策だ」と即断して、そのデメリットを十分検討しないままロシアに対する経済制裁に踏み切った可能性がある。   

 経済制裁の最大のデメリットは「仕掛けられる側に加えて、仕掛けている側も損をする可能性が高い」ということである。

 ロシアのメドベージェフ首相は、4月23日、欧米の経済制裁によりロシアが被る損失額は約1067億ドルに相当することを明らかにした。外国貿易総額は今年の最初の2カ月間で約30%減少、最大の貿易相手であるEUとの貿易額は3分の1以上縮小したという。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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