米中の軍事衝突は原油価格にどう影響するのか?

原油市場を左右する新たな地政学的リスク

2015.06.05(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43927
  • 著者プロフィール&コラム概要

韓国で7人のMERS感染確認 疑いの男性、警告無視し中国に

6月3日、韓国でのMERS感染者は計30人に(うち2人死亡)。感染症の拡大はアジアの原油需要を減少させるリスクとなる。韓国・仁川国際空港で、ウイルス感染などを検査するために入国者の体温を表示する画面(資料写真)。(c)AFP/BYUN YEONG-WOOK〔AFPBB News

「原油市場、地政学的混乱に反応薄」──。2015年5月22日付ブルームバーグは、中東の地政学的リスクが近年になく高まっているにもかかわらず原油価格がこれにあまり反応していない状況を報じている。

中東情勢への反応が鈍い原油価格

 5月17日、ISIL(いわゆるイスラム国)がイラクの首都バグダットからわずか130キロメートルしか離れていない主要都市ラマデイを制圧し、衝撃が走った。米軍の空爆等により瀕死と見られていたISILが、国際社会の想像を超えた狡猾な戦略で力を増していることが明らかになったのである(5月24日付の英インデイペンデント紙は「ISILは1年以内に核兵器を手にする可能性がある」との記事を掲載した)。リビアでは5月25日に石油タンカーが爆撃を受けるなど依然内戦状態が続いている。

 サウジアラビアはイエメンに対する空爆を2カ月以上続けているが、国内では5月22日、ISILによる自爆テロが初めて発生し、東部州にあるイスラム教シーア派のモスクでの死傷者は100人を超えた(29日もISILのテロが発生し7人が死傷した)。さらには、「サウジアラビアがイランの核武装化に対抗するため、パキスタンから核兵器を調達する戦略的決定を下した」との爆弾報道(5月21日付英サンデータイムズ)まで飛び出し、米国務省がこの噂を否定する騒ぎとなった。

 こうした状況のなか、中東の地政学的リスクを反映しやすいとされるロンドンの北海ブレント原油先物はWTI先物以上に下落している。

1
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

>>最新記事一覧へ