原油価格は本当に底を打ったのか

上昇基調は続かないこれだけの理由

2015.05.08(金) 藤 和彦
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IS、再びリビアの油田を攻撃 国営会社が油田閉鎖を警告

OPECの加盟国、リビアのアルガニ油田(2013年3月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/ABDULLAH DOMA〔AFPBB News

米エネルギー省が4月29日に発表した石油在庫統計によれば、24日までの週のオクラホマ州クッシング(WTI原油先物の受け渡し地点)の原油在庫は、2014年11月28日以来初めて減少した(51.4万バレル減少して6170万バレル。タンクの貯蔵能力は7080万バレル)。

 米国の石油掘削装置(リグ)の稼働数は前週比31基減の703基と2010年以来の低水準となった。3月以降、原油価格は30%超上昇し、米国での原油生産もようやく頭打ちになり、「原油価格は底を打った」との観測が広がっている(5月5日WTI先物価格は昨年12月以来初めて1バレル=60ドルを上回った)。

 4月22日、米シェール生産大手「パイオニア・ナチュラル・リソーシズ」は、「市場環境が改善すれば6月から月2基のペースで掘削リグを増やす」との方針を明らかにした。このようにシェール業界の姿勢も前向きになりつつある。

「栓」をされている大量の地下原油

 しかし、ここにきて「フラックログ」という伏兵が現れてきた。フラックログとは水圧破砕法によって採掘される予定の油ガス井を指す。ブルームバーグ・インテリジェンスの分析によれば、その数が過去1年で3倍に増加しているという。テキサス州やペンシルベニア州などの油田で操業する企業は4731本の油井を掘削したが生産をいまだ開始しておらず、日量32.2万バレルの原油(リビアの日量原油生産量に匹敵)が地下に眠ったままとなっている(2015年4月24日付「ブルームバーグ」)。水圧破砕により掘削された油田の多くは「栓」をされている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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