最近のバンコクで一番驚くのは、日本の飲食店が日増しに増えていることである。昔々のバンコクしか知らない人が訪れたら、日本の別の都市に来たのかと錯覚するかもしれない。味の管理もしっかりしていて、もはや海外にありがちな「日本食もどき」ではなく、本場の味が楽しめる。

人生の転機は予期せぬところから始まる

今週のランキング
順位 タイトル
1 日本人が知らない親日国家「20対2」の真実、安倍首相のアジア訪問で明らかに
2 世界一、日本一の事業を次々と放出したNEC、玉ねぎの皮を剥いていったら最後に何が残るのか?
3 韓国人、パリで日本人シンドロームに片足を突っ込む
4 慰安婦の像に「ノー」をつきつけた米国在住の日本人たち
5 日中関係:8月15日までに何が起きるのか
6 渡邉美樹氏の周りは「お追従者」だらけなのか
7 韓国が罹患した恐ろしい病気、コンジュビョン
8 中国の台頭に便乗する恩恵とリスク
9 日韓の訪問者数、5年ぶり逆転も
10 人身売買増加の裏に東欧「解放」後の悲劇
11 睡眠不足は万病のもと
12 カンボジアで法制度確立に辣腕振るう日本の美女
13 ナチス失言に垣間見える自民党の憲法改正の野望
14 オスプレイ配備は尖閣「奪還」のためにあらず、それでも中国が嫌がる理由
15 200兆円の超巨大市場「ハラルビジネス」を狙え!
16 石油の未来:過去の燃料
17 世界に対して門戸を閉ざす英国
18 「激辛」世界一を目指さないのにはワケがある
19 バンコクでいま大人気の日本語フリーペーパー
20 ドイツに学んだ森林経営、何でも1番目指す

 前回紹介したバンコク随一の日本人向けフリーペーパー、ArayZの創業オーナー高尾博紀さんがタイにやって来るきっかけも、実は飲食店がらみだった。

 それは2008年に東京で裕福なタイ人に知り合ったことから始まる。バンコクで日本食レストランを経営したいので手伝ってくれないかと誘われたのだ。

 「当時はタイにはほとんど興味はありませんでした。しかし、知り合ったタイ人が日本食は絶対に流行るからやりたいと、とにかく熱心に誘われたのです」

 高尾さんは早稲田大学がインキュベーションセンターを設立したときの第1期生。学生時代から大企業で働くよりも自分で起業したいという気持ちが強かった。

 そして大学を卒業した翌年2004年にはベルギービールを輸入販売する会社を興し同時に飲食店の経営にも乗り出している。

 2008年はリーマンショックがあったものの、ベルギービールの店は順調に伸びていて店舗もも8つほどに拡大していた。デフレどこ吹く風で1本1000円もするビールがよく売れた。

 「市場は常に変化しています。デフレだから価格勝負というだけじゃないから面白いですよね。そんな時期だったので、海外には興味が湧かなかったのですが、どうしてもと誘われたのでつい首を縦に振ることになってしまって・・・」

 人生の転機とはこういうものなのかもしれない。全く予期しないところから新しい道が開けてくる。

 2009年、タクシン派と反タクシン派が激しく衝突、一時空港も占拠されるような紛争が繰り広げられていたタイのバンコクへ高尾さんは足を踏み入れることになった。