筆者の名前には、恥ずかしながら「姫」という字が入る。漢字で「姫」と書くと、日本ではよく「お姫様なんだ」とからかわれるが、韓国での「姫」は別段、お姫様ではなく、「女子」という意味である。

 同じ漢字圏ではあるが、韓国ではお姫様を「姫」という字で表さず「公主(コンジュ)」と書く。それに「お姫様なんだ」と言われると、韓国人としてはあまりいい気がしない。なぜなら韓国では「お姫様病」という言葉があり、あまり良い意味ではないからだ。

お姫様病の餌食となる彼氏と母親の悲劇

 「お姫様病(公主病)」とは、国語辞典によると、「名詞:若い女性がまるで自分自身がお姫様のようにかわいくて高貴であると勘違いすることを俗に云う言葉」とある。

 また、韓国斗山百科事典によると、「自分の容貌や立場などお構いなしに、まるで王宮のお姫様だと錯覚している新世代の無鉄砲な少女の心理的症状の1つ。こうした子供は集団の中では目立つ存在で、出たがり、目立ちたがりの一種の誇大妄想だ」とある。

 つまり、「自分を童話に出てくるきれいで高貴な身分のお姫様だと勘違いする若い女性のことである」。

 韓国は、1910年大韓帝国を最後に王政はなくなり、現在では王族も貴族もない民主主義国家となった。だから、通常お姫様は存在しない。

 だが、少子化の世の中、女の子は誰でも家庭の中では「お姫様」、男の子は「王子様」として大事に育てられ、家の中に君臨する。

 だが、学校や社会生活をしていくうちに、徐々にお姫様だった人も普通の人に降格する。それが自然な流れなのだが、その流れに乗れず、思春期を迎えてしまった人たちは「お姫様病」にかかり、現実との乖離がますます広がってしまう。

 まず、お姫様病にかかると、自分はこの世で一番きれいでかわいいと思い(童話やディズニーの影響で、なぜか西洋の美女だと思うことが多い)、友だちや家族はすべて自分の身の回りを世話する世話係だと勘違いして、こき使う。

 こうした勘違いは、小さいときから家族にちやほやされて育った人に現われやすい。特に、「お姫様病」にかかった女性を彼女にした彼氏の運命は悲惨だ。