いま日本で最も熱い都市と言えば、大阪市ということになるだろうか。橋下徹市長の言動は歯切れ良く、日本が目指すべき方向性を考えるうえで、彼の発言一つひとつが正鵠を射ている。国民の人気を集めて当然だろう。
日本を本気で変えたいならまず市町村改革から
日本中の人々が彼に期待を寄せるのは恐らく、大阪市の改革を超えて国政改革に乗り出してくれるだろうという思いがあるからに違いない。
ただし、国の形を一気に変えるのは大変なことである。様々な問題が発生し、そのつど抵抗勢力が勢いを増して改革を逆行させかねない。
橋下さんのリーダーシップには大いに期待したい。一方で、本当に日本を変えるにはもっと着実な方法もある。地方からの改革だ。
全国の市町村が自立して改革に邁進すれば国に対して大変な圧力となる。
これは迂遠なようで最も早道ではないだろうか。その意味で、今回は大阪市よりも先行して大胆な改革に着手している市を紹介したい。千葉市である。
メディアへの露出度では大阪市はもちろん名古屋市などに比べて目立たない存在だが、若い市長が陣頭指揮を執って、かつての放漫経営で傷んだ市の財政を着実に改善させている。地方自治改革のモデルケースと言っても過言ではない。
改革は一朝一夕にはいかない。とにかく時間と労力がかかる。34歳の熊谷俊人市長は、根気強く一つずつムダを省く一方で、新しい産業の誘致にも余念がない。
苦しい改革を断行する一方で、成長戦略もきちんと描く。消費税増税ばかり先行させて成長戦略は全く描けていない民主党政権とはえらい違いなのである。熊谷市長は言う。
「消費税増税が決まる前に改革に着手できてよかった」
インタビューの中で最も印象に残った言葉だ。3党が合意した消費税増税分はわずかではあるが地方に回ってくる。それが入ってしまうと、市が一丸となって改革に取り組む決心が揺らいでいたかもしれないと言うのだ。