■ 風見鶏症候群
風見鶏症候群は、社会の中に正解があると思い込む人たちのことを言う。自分の軸や考えを持たず、周囲の状況を眺めて絶対解があると思い込み、自分の外にある正解に振り回され続ける人たちだ。
青い鳥症候群の人たちは自分の中に正解があるはずだと自分探しの旅に出るが、こちらは自分の外に正解があるため、社会環境によって影響をすぐに受ける。筆者がつくった造語であるが、風が吹くたびに向きを変える風見鶏の動きに似ていることから、風見鶏症候群と呼ぶことにする。
世の中が「Aが大事」と言えばAの方向に進み、「Bが重要」と言えばBの方向に進む。就活マーケットでは、よく「これから伸びるのは○○業界」「○○業界は衰退の危機」といったフレーズを耳にするが、このようなフレーズにいちいち反応して、動いてしまう人は、風見鶏症候群の分かりやすい例だと言えるだろう。
Z世代は子どもの頃から「口コミ」情報にあふれている。「多くの人たちは何を好んでいるのか?」「どの店に行くことが(外れの少ない)正解なのか?」を見つけることができる。つまり社会の風を感じ取りやすい状況にあると言えるだろう。これが行き過ぎると自分の五感で感じることよりも、社会の風を「正解」と置いたほうが間違いないこととなり、社会の風に振り回されるようになる。結果としてキャリアの正解探しに迷い込むことになる。
変化が激しく、すぐに風向きが変わる時代だからこそ人は不安になる。そして、自分の軸がない人は風見鶏症候群に陥りやすい。