■ 正解は「自分」と「社会」の間にある
自分の中に正解があると思い込む「青い鳥症候群」と、社会の中に正解があると思い込む「風見鶏症候群」。Z世代の部下が「青い鳥症候群」または「風見鶏症候群」に陥っているのであれば、まずは「そこに正解はない」ということを認識させなければいけない。
どちらの症候群も、一度陥るとなかなか抜け出せない。もし、青い鳥症候群や風見鶏症候群に陥っているのであれば、そこからの脱却を支援する必要がある。
青い鳥症候群から脱却するポイントとしては、まずは今の自分で肯定できる部分を見つけてもらうことである。簡単に今の自分を否定するのではなく、これまで培ってきた経験やできるようになってきたことを承認し、そこを軸に自分を取り巻く環境との間でどのような価値が発揮できるのか。そして、その価値の発揮から自分はどのような喜びを得られるのかを考えてもらうことが大切だ。
結果として、現実に立脚した「漠然とした願望」を見つけることもできるであろう。最初は、なかなか自分を認めることができないかもしれない。だからこそマネジャーから、そのメンバーが持っている特性を承認し、活かし方を考えてあげることが大切である。
風見鶏症候群から脱却するポイントとしては、まずは自分自身の五感で感じる世界を肯定することだ。誰がどのように言おうとも、自分にとっての真善美や快不快があるはずである。その自分自身の感覚を軸に、取り巻く環境を切り分ける作業が大切である。仕事をするうえで喜びと感じる部分は何なのか。人と関わるうえでどのようなことができたら自分の喜びと感じることができるのかを考えてもらうことが大切だ。
結果として自分の感性に立脚した「漠然とした願望」を見つけることもできるであろう。マネジャーはメンバーへの問いを通して、気付きを促してあげてもらいたい。
いずれにせよ、「漠然とした願望」の正解というのは、自分の中にも社会の中にもない。正解は、自分と社会の間に存在しているのだ。自分の感情と社会の状況を同時に意識しながら行動していく中で、個人人格を自覚できるようになっていくのである。そして、その「漠然とした願望」を軸に自分なりのキャリアをつくっていくことができる。
<連載ラインアップ>
■第1回 SNS世代が陥りやすいキャリアの「正解探し」の罠、脱却を支援する際のポイントとは?(本稿)
■第2回 「正解探し」から「正解創り」へ、Z世代のキャリアづくりに役立つマインドセットとは?(11月14日公開)
■第3回 早期離職がもたらす「6つの弊害」と若手社員の退職を防ぐ「We感覚」とは?(11月21日公開)
■第4回 新入社員の「突然の離職」を防ぐためのマネジメントのポイントとは?(11月28日公開)
■第5回 アサヒ飲料が導入した「2年目リフレクション研修」、その狙いと内容とは?(12月5日公開)
■第6回 鹿島建設が入社3~5年目の社員に実施した「アイカンパニー研修」とは?(12月12日公開)
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