このケースであれば、売り上げが低迷している状況を把握して、何が問題でどういった課題があるのかをつかむことが最初に行うことになります。課題が見えてくると解決に向けた戦略が立てられます。
戦略を立てたうえで戦術を考え、具体的な活動を進めていく訳です。闇雲に活動を始めても、効果が得られないばかりか逆効果のことをしてしまうことになりかねません。
日本コカ・コーラ社で働くようになって間もない頃、藤野さんから店頭での販促プランを考えるよう指示がありました。早速、1つのプランを立てて提示します。現場で培った感覚の見せどころです。
「セットメニューを対象にしたポイントをためるプロモーションはいかがでしょうか」
「なぜ、そのセットメニューなの。どうしてポイントにしたの?」
シートに目をやりながら、最初から切りかかってくるような質問が飛んできます。
「はい、これがいまのトレンドですし、ポイントプロモーションは他より高い効果があります」
なんとか切り返します。
「根拠は何、現状はどうなっているの?」
「現状ですか…、現場経験からこれが一番だと判断しました」
たちまち返答に窮します。
「根拠はないのね。じゃ、どんな方向で進めようと考えたの。目標はどこ?」
「方向ですか…、目標…」
もう次の言葉がありません。
「現状もわからない。方向性もはっきりしない。目標もない。闇雲に考えて、これをやろうじゃ、本当に市場の現状に応える販促にならないじゃない」
いきなり具体策から考えたのですから、その傘となる考えがないのは当然です。しかし、よく考えてみると、何もわからないまま行動を起こすのと何ら変わらない状態は確かに無謀です。
営業は、個人的な交渉スキルやその人が持つ独自の強みが取りざたされますが、どんなに個人的な能力に秀でていても、アプローチする方向を間違えていると目指す成果は得られません。
戦術は戦略に勝てないのです。「考えて、行動するまでの順序を正しく進める」ということです。
<連載ラインアップ>
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■第3回 日本コカ・コーラのセールスコンテストで日本一をとった男が、「社内営業」の大切さを知った“長老”の苦言とは
■第4回 アイデアは10分で出す、日本コカ・コーラの上司から学んだ仕事をスピーディに進めるための原則とは?
■第5回 日本コカ・コーラで学んだ、仕事の成否を大きく左右する「6つのステップ」とは?(本稿)
■第6回 組織の機能を使い切るには? 四国コカ・コーラ ボトリングで気付いたシンプルな「組織営業」の基本(11月6日公開)
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