日本企業が「失われた25年」を取り戻すためには、ホワイトカラーの生産性向上に取り組む必要がある──。こう語るのは、書籍『ホワイトカラーの生産性はなぜ低いのかー日本型BPR2.0』(プレジデント社)を出版したSAPジャパン カスタマー・アドバイザリー統括本部コーポレート・トランスフォーメーション ディレクターの村田聡一郎氏だ。前編では、欧米に比べ、日本がホワイトカラーの生産性を向上できなかった理由を語ってもらった。後編となる本記事では、日本企業が取り組むべき変革として同氏が提唱する「日本型BPR2.0」について聞いた。(後編/全2回)
■【前編】部分最適の罠にはまった日本、デジタル化の波に乗れず「失われた25年」に沈んだのはなぜか
■【後編】21世紀は「定型業務を担わせない」ことが企業競争力に、その変革を推進する「仕組み」をどう作るか?(今回)
経営者は定型業務を剥がして「少人化」を進めるべき
──ホワイトカラーの生産性を上げるために、日本企業の経営者が率先して行うべき変革とはなんでしょうか。
村田聡一郎氏(以下・敬称略) 一言で言えば「少人化」です。そしてその参考となるのが、トヨタ生産方式に代表されるブルーカラーの現場で行ってきた少人化でしょう。ブルーカラーの現場では、工程をカイゼンして効率を上げると、その業務にかかる人員を削減し、他の工程に人員を移すことで「多能工化」を進めてきました。このアプローチをホワイトカラー業務にも適用すること、それも先ほど話したように部門ごとではなく、会社全体で適用することが必要です(前編参照)。少人化によってホワイトカラーの人材も多能工化させ、会社全体の柔軟性と効率性を高めていくのです。
──「少人化」を進めるためには、具体的に何をすればいいでしょうか。
村田 まずはホワイトカラーが担当する定型業務を“剥がす”取り組みが必要です。