組織や部下が成長し続けるために、リーダーが果たすべき役割とは?本連載では、9年ぶりに日本代表ヘッドコーチとして再登板が決まったラグビーの名将、エディー・ジョーンズ氏の著書『LEADERSHIP リーダーシップ』(エディー・ジョーンズ著/東洋館出版社)から、内容の一部を抜粋・再編集。イングランド、オーストラリア代表ほか数々のチームを率い、ゴールドマン・サックス日本のアドバイザリーボードも務める同氏の、ビジネスにも通じるチームづくりやコーチングの極意に迫る。
第6回目は、世の中が変わっても揺らがないジョーンズ氏のリーダーシップの原則「リーダーシップ・サイクル」について解説する。
<連載ラインアップ>
■第1回 ラグビー豪州代表元HC、エディー・ジョーンズ氏が語る「リーダーシップ」の極意
■第2回 チームに一匹狼は必要か?ラグビー英国代表が重視した「3つの価値観」とは?
■第3回 名将エディー・ジョーンズは、五郎丸歩の心をどう開き、関係性を築いたか?
■第4回 不安やストレスから選手と自分を守るために、なぜルーティンが必要か?
■第5回 サッカーのイングランド代表チームから、ラグビーの名将が学んだこととは?
■第6回 ハイパフォーマンスの鍵を握る「リーダーシップ・サイクル」「3つのM」とは?(本稿)
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第17章 サイクルは回り続ける
――行動をマネジメントし、対立の原因を掘り下げ、 サイクル上に自分を位置づける
■リーダーグループを流動性のある存在にする
リーダーシップ・サイクルに終わりはない。ハイパフォーマンスな環境は進化と改善の飽くなき追求を必要とする。我々が決して満足せず安心しない理由はそこにある。ここは過酷で容赦ない世界だ。
それでも、ラグビーという独特な世界でコーチし、オペレートし、マネジメントすることに挑戦するのは、刺激的でやりがいのある仕事である。
またひとつシーズンが終わったが、2021年の7月は休暇が取れそうにない。検討すること、計画すること、実行に移すことが山のようにあるからだ。
プロのコーチになって25年で一番と言っていいほど異例ずくめのシリーズを2つ、我々はやり終えた。
新型コロナウイルスが全世界で猛威をふるい、いつ終わるとも知れない世界規模のパンデミックに誰もが強い衝撃を受けていた。観客のいない競技場、自主隔離、ロックダウンやバブルシステムに加え、長引く不安が経済にも社会にも人々の心理にも深く影を落としている。
周りの誰もが感じているように私も影響の大きさを感じていた。私のチームもラグビー界も事の重大さに動揺している。だが、それは全世界のあらゆるスポーツ、チーム、コーチとて同じだ。
この状況を頭からふりはらい、気をつけることをやめ、ワクチン接種を拒否しても、コロナウイルスとその恐ろしい変異株の油断ならない感染拡大からは逃れられない。