古民家・古木を循環させ地域経済を循環させる

　山翠舎は現在、2つの「循環」を生み出そうとしています。

　1つ目は、古民家・古木の循環です。この取り組みは、2020年にグッドデザイン賞も受賞しました。日本には、魅力的な古民家や、長い間使われてきた中で独特の風合いが出てきた古木がたくさんあります。

　しかし現在のところ、古くなったり持ち主が亡くなったりして管理が難しくなった古民家は、多くが取り壊され捨てられています。これではあまりにもったいないと、私たちは思っています。

　地方にとって貴重な財産である古民家や古木をなんとか救い出し、建築物として再利用することで、新たな価値を生む。

　私たちは、そんな循環をつくり出したいと考えています。

　そして2つ目が先ほど述べた、地域経済における正のスパイラルです。素晴らしい古民家や古木を生かして、魅力的な店舗やギャラリー、コワーキングスペースなどをつくる。その結果、地域に新たな人の流れを生み出して活性化につなげる。私たちは、そうした循環をつくりたいとも考えています。

　私たちは、古民家を使った店舗の施工をするだけではありません。地域に正のスパイラルを生み、それを加速させることが地方で事業を営む私たちの役割であると考えているのです。

　次回は古民家のポテンシャルについてお話します。

『‶捨てるもの″からビジネスをつくる 失われる古民家が循環するサステナブルな経済のしくみ』（山上浩明著、あさ出版）

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