台湾有事は日本にも甚大な影響を及ぼす。写真は台湾軍の軍事訓練の様子(写真:ロイター/アフロ)

 台湾を「不可分の領土」とする中国が軍事侵攻によって台湾統一を図る「台湾有事」。発生すれば日本も無傷ではいられない。具体的にどれほどのインパクトがあるのか。地経学分野の言論・研究プラットフォーム「実業之日本フォーラム」は、中国による台湾への武力侵攻――「台湾有事」のリスクについて、起こり得るシナリオごとに日本経済にどのような影響があるのかを試算して報告書にまとめた。

 その結果、最も烈度の高いシナリオでは日本のGDPが15%減少する可能性があることが分かった。この落ち込みは日米欧の主要国合算GDP成長率で5%強の減少となったコロナ危機よりも大きく、第一次および第二次世界大戦時の落ち込みをも上回る。

 台湾離島に中国が侵攻するシナリオについて検討した前編「《台湾有事、4つのシナリオを詳解》台湾離島に侵攻だけでも日本のGDPは1〜1.5%減、中国本土では資産接収も」に続き、本稿では、台湾本土への攻撃も含め、影響がより広範囲にわたる2つのシナリオを紹介する(台湾有事の背景にある米中対立構造の分析も含めた詳細な調査結果は報告書を参照されたい)。

【前編から読む】
◎《台湾有事、4つのシナリオを詳解》台湾離島に侵攻だけでも日本のGDPは1〜1.5%減、中国本土では資産接収も

シナリオ(3)日台対処

 シナリオ(3)は、中国が離島のみならず台湾本土を攻撃し、かつ尖閣諸島や先島諸島も攻撃対象とすることまでを想定する。

 日本の領土である尖閣諸島と先島諸島は、中国にとって東シナ海から西太平洋へ展開するルート確保のために重要な拠点であり、第一列島線内をコントロールして台湾を影響下におくという意図には制圧が欠かせない。尖閣諸島は中国も領有権を主張しているため、先島諸島よりも侵攻の可能性が高いだろう。

 両諸島には米軍基地がない。自らの基地が攻撃されなくても、日本の領土が侵攻されたとして、米国は日米安全保障条約に基づいて行動するか。中国にとっては、日本の安全保障に対する米国のコミットメントを確認する手段でもある。

 結果として米国は動かず、国際社会も静観し日台のみで中国からの侵攻に対処するというのがこのシナリオだ。

「日台対処」シナリオ
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