アップルストア 中国・上海店(写真:VCG/アフロ)

 米ブルームバーグはこのほど、中国政府が政府機関や国営企業の職員に対し、iPhoneなど海外ブランドスマートフォンの使用を禁じる措置を拡大したと報じた

8省の政府機関や国営企業、国産端末の使用を指示

 沿岸部を含む少なくとも8つの省の政府機関や国営企業が過去1~2カ月に、職員に対し国産ブランドの端末を使用するよう指示した。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルやブルームバーグなどは2023年9月、中国政府が中央政府機関の職員に対し、iPhoneなど海外ブランドスマホの業務使用と職場への持ち込みを禁じると報じていた。だが、今回の措置は、その規模を拡大したものとみられる。23年12月に入ると、地方都市の小規模機関・企業でも口頭での指示が出されたという。このことは、より広範な動きが始まっていることを示唆している。

 どれだけの政府機関が指示を出したのか、またそれがどの程度の範囲に及んでいるのかは正確に分からない。組織によっては、アップル製端末の職場での使用のみを禁止しているところもある。しかし、自宅なども含め全面的に使用を禁止しているところもある。それがどの程度徹底されているかについては組織によって異なるとブルームバーグは伝えている。

 これに先立つ23年9月、中国外務省の毛寧副報道局長は、「iPhoneなどの購入や使用を禁じる法律や文書を出していない」と述べ、一連の報道を否定していた。だが、これは単に「法律や文書を出していない」という意味で、口頭で使用制限を指示した可能性もある、との見方が出ている。

 今回の、より広範で連携のとれた動きは、米国技術への依存低減を目指す中国政府の取り組みが加速していることを示している。これにより、同国市場で成長に苦戦しているアップルと韓国サムスン電子にとって課題がより大きなものになった。