(英フィナンシャル・タイムズ電子版 2023年10月17日付)

ポーランドの総選挙で勝利した中道右派「市民プラットフォーム」を率いるドナルド・トゥスク氏(10月15日、写真:ロイター/アフロ)

「悪い時代の終わり」

 これが15日夜、野党指導者のドナルド・トゥスク氏が出口調査に基づくポーランドの重大な議会選挙の結果を描写した言葉だった。

 与党「法と正義(PiS)」は自党に有利になるよう投票率を下げることを目指す世論を二分する選挙戦を展開したが、ポーランド国民は大挙して投票に出かけた。

 有権者はトゥスク氏の中道右派野党「市民プラットフォーム」が率いる野党連合に権力へ至る道を与えた。

 それに伴い、ポーランドにとっての民主的な救いへの道が開けた。

民主主義国としての存亡がかかった選挙

 15日の選挙は、共産党支配の終焉への道を開いた1989年の選挙以来、ポーランドで最も重大な選挙だった。

 選挙の結果にかかっていたのは、民主主義に基づく政体、そして政権与党のイデオロギー的な思惑ではなく法の支配を守る国としてのポーランドの存続だった。

 野党が勝利を収め、政治化されていたポーランドの司法が是正されれば、同国向けの数十億ユーロの欧州連合(EU)資金の凍結が解除されるはずだ。

 最も近い近隣諸国との関係も修復される。

 どこにも増してドイツとの関係が改善されるが、PiSの選挙キャンペーンの巻き添え被害になったウクライナとの関係も修復されるだろう。

 もしこれがEUの拡大とより緊密な統合、EUの防衛強化に対するポーランドの支持を意味するのであれば、EUのあり方を大きく変える可能性も秘めている。