経済対策の中で「年収の壁」支援強化パッケージを打ち出した岸田文雄首相(写真:共同通信社)

 会社員や公務員が扶養する配偶者の年金保険料を免除する「第3号被保険者」制度を見直す議論が、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で始まった。労働力供給の妨げになるとして何度も改正議論の俎上に上がっては生きながらえてきたが、主な対象となる専業主婦が減少の一途をたどる中、2025年に予定される次期年金改革でついにメスが入るかもしれない。

 この9月25日には女性の就労を抑制する「年収の壁」対策として、政府は企業への助成金制度を立ち上げるといった対策を発表したが、パートで働く専業主婦からの評判は芳しいとは言えない。求められているのは、働き方の多様化に対応した制度ではないのか。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

同じ専業主婦でも扱いが違う

 日本の年金制度のベースとなる国民年金の加入者は、自営業やフリーランスなどの第1号被保険者、会社員や公務員の第2号被保険者、そして、第2号被保険者に扶養される配偶者である第3号被保険者(主に専業主婦)の3通りに分類される。

 第1号被保険者は自分で保険料を納め、第2号被保険者の保険料は会社と折半する形で給与や賞与から天引きされる。しかし、第3号被保険者は現状、年金保険料の納付を免除されている。

 つまり、第3号被保険者は自分で保険料を支払うことなく、将来は被保険者期間に応じた自分名義の老齢基礎年金を受給することができるわけだ。扶養者の第2号被保険者が加入する厚生年金などが代わりに「基礎年金拠出金」を出しているからだ。

 しかし、同じ専業主婦でも第1号被保険者に扶養される場合、自分で国民年金の保険料(2023年度は月額1万6520円)を納める必要がある。こうした不公平感や、「共働きやシングルの会社員が間接的に第3号被保険者の保険料を負担させられている」といった不満から、制度への批判の声が絶えなかった。

 一方で、第3号被保険者の適用を受けたいがゆえに自発的に就労を控えたり、労働時間をセーブしたりしているとしたら、人手不足で困っている企業にとっては手痛い損失となる。

 そもそも、第3号被保険者制度そのものが時代遅れだという指摘もある。