会社員でも確定申告で税負担を軽減できる余地がある(写真:アフロ)

「新・増税時代の幕開け」——。日本の防衛費増額の財源問題は、法人税・所得税・たばこ税からの捻出で決着し、「令和5年度与党税制改正大綱」には、2027年度までに3税の増税が盛り込まれた。そうでなくても近年、相次ぐ給与所得控除の見直しなどで会社員の税負担は重くなっている。勤務先が賃上げしても手取り収入がほとんど増えない。給料は“ガラス張り”で、自営業者やフリーランスに比べると節税の余地は限られる。しかし、ゼロではない。大きなチャンスがやってくる。年に一度の確定申告だ。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

国税庁は“節税目的”の副業を牽制

  多くの会社員は勤務先の年末調整で所得税の精算を行うため、翌年の確定申告は不要だ。しかし、年収が2000万円を超えていたり、2カ所以上から給与の支払いを受けていたりすると、会社員でも申告しなければならない。

 一方、年末調整では対応できない医療費控除や住宅ローン控除(初回)の適用を受ける場合も申告が必須となる。

 そこで、2月16日から2022年分の申告受付が始まる前に、会社員が留意すべきポイントと得するコツをまとめてみた。

 まず副業の稼ぎがある場合。

 2018年以降、政府の働き方改革の一環として副業推進の動きが加速し、解禁に踏み切る企業が増えている。副業は稼ぎ方によって申告する所得の種類が異なるが、原則、所得が20万円を超えていたら申告が必要になる。

 気を付けたいのは、副業を事業所得として申告している会社員だ。中には副業を赤字にして給与所得と合算(損益通算)し、還付金を受け取っているケースも散見される。

 これに対し、国税庁は2022年8月に「会社員の副業所得が年300万円以下の場合は(給与所得と損益通算できない)雑所得として取り扱う」という通達を出し、“節税目的の副業”を牽制している。