小売り大手は広告などで消費者の意思決定をコントロールしてきたが、生成AIが消費者の購買行動に関与するようになるとどうなるのだろうか(写真:AP/アフロ)
  • 買い物の時にChatGPTなど生成AIに相談する消費者が増えている。
  • 消費者は広告やチラシ、レシピサイトなどを通じて消費者の意思決定に関与してきたが、生成AIに相談する消費者が増えれば、関与する機会を失う。
  • 今後は消費者の質問の傾向や生成AI側の回答を把握するための「生成AIマーケティング」が加速するだろう。

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

買い物の相談相手としてのChatGPT

 個人的な話で恐縮だが、筆者はコロナ禍によって在宅での仕事が増え、夕飯を作ることも多くなった。その中で気づかされたのが、日々夕飯のメニューを考えるのがいかに大変かという点だ。

 1日か2日、自分が食べる分だけを用意するのであれば、さほど労力はかからない。しかし何日か連続で、さらに家族の分もとなると、これは食べてくれるだろうか、量は十分だろうか、栄養に偏りはないかなどさまざまな要素を考慮しなければならない。

 もちろん、毎回100点の準備ができるはずもなく、正直に告白すると、スーパーで適当に食材を見繕ってカゴに入れてしまうことも多い。

 しかし最近、強力な味方が現れた。それは話題の対話型AI「ChatGPT」である。ChatGPTにレシピを提案させたり、食事のメニューを考えさせたりしてみたという記事を読んで、自分でも試してみようと思い立った次第だ。

 以下は、「最近体重が気になってきたのですが、夕飯に何かヘルシーなメニューを提案してくれませんか?」という質問に対するChatGPTの提案である。


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 適当に「メニューを考えて」と打ち込んでも良いのだが、少しその日の気分や好みなどを補足してやると、期待に沿った回答をしてくれる。たとえば、上のスクリーンショットでは、「ヘルシーなメニューを」と指示したところ、サラダや鶏むね肉の料理などを提案してくれた。

 確かに鶏むね肉のグリルは美味しそうだ。ということで、詳しいレシピも尋ねてみた。


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 少しざっくりとしているが、参考にはなる。

 もう少し詳しい情報が欲しいという場合には、無数に存在する他のレシピサイトを検索すれば良い。「新しいメニューを考えさせる」というような実験ではまだまだ失敗も多いようだが、日常的な料理や買い物のアイデアをもらう程度であれば、十分に活躍してくれる。

 このように感じているのは、筆者だけではないようだ。