「日本版ライドシェア」は本場Uberと何が違う?(写真:ロイター/アフロ)

一般ドライバーが有償で客を乗せて走る「ライドシェア」が4月から東京都、神奈川県、愛知県、京都府のそれぞれ一部地域で曜日や時間帯を限定して解禁されます。タクシーの運転手不足に加え、ここ数年は海外からの旅行客が急増し、都市部ではタクシーがなかなかつかまらない状態が大きな問題になっていました。新たに始まる、いわゆる「日本版ライドシェア」とは、いったいどんな仕組みなのでしょうか。安全性や運賃は? 専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します。

フロントラインプレス

米Uberとの根本的な違いとは

 英語のライドシェアを直訳すれば「相乗り」です。日本では、同じ方向に向かう者同士が車に同乗する習慣はほとんどありませんが、欧米では早くからライドシェアが社会に受け入れられています。

 例えば、米国では「カープール」の呼称で相乗りの習慣が定着。複数人が乗った車が優先走行できるカープール・レーンも整備されてきました。ラッシュ時の車両台数を減らし、渋滞緩和や大気汚染防止などにつなげる狙いです。

 もっとも、いま話題になっているライドシェアは一般的な相乗りではなく、自家用車をタクシーとして利用することを前提とし、オンラインの配車プラットフォームを使ってタクシーの需給バランスを調整していく新スタイルのビジネスです。ライドシェアはそもそも一般ドライバーが自家用車を使って客を有償で運ぶことを合法化するもので、国土交通省もライドシェアのことを「自家用車活用事業」と呼んでいます。

 その際、カギを握るのは、ドライバーと客とのマッチングで、それを担うプラットフォーム企業のことをTNC(Transportation Network Company)と呼びます。TNCの代表格「Uber Taxi」は現在、米国やカナダ、欧州など世界33カ国で配車事業を展開しています。

 ただ、4月から始まる日本版のライドシェアはプラットフォーム企業が一般ドライバーのマッチングを担うスタイルではなく、タクシーの台数不足を補完する制度としてスタートします。

 日本ではコロナ禍にタクシー運転手は約4万人も減少。少子高齢化もあって運転手のなり手がいなくなり、「交通の空白」「移動の足の確保」が大きな社会問題となってきました。それを解決するだけでなく、規制緩和によるビジネスチャンスの拡大、自由な働き方の浸透などにもつながると期待されています。

 では、その仕組みから覗いてみましょう。