大都市圏以外の自治体でも拡大求める声

 4月から都市部で解禁されるライドシェアとは別に、自治体が運営主体となるライドシェアについても拡大の機運が高まっています。

 実は、先に示した道路運送法の有償運送の規定には、もう1つの例外規定があります。過疎地域などにおいて地域住民らの足を確保する目的であれば、自家用車や一般ドライバーの活用を認めるというものです。

 実際、市町村やNPO(非営利団体)が管理・運営し、有償で人を運ぶ小規模なコミュニティ型の自家用車活用は各地で実施されてきました。これらの取り組みは地域住民にとって通院や買い物などに不可欠なものとなっていますが、運行区域やコースが限定的で地域の交通問題を抜本解決するには至っていません。

 そうしたなか、有償運送の規制が大きく緩和されたことを受け、大都市圏以外の自治体でもこの制度を利用したいという声が急速に高まってきたのです。具体的には、タクシー会社ではなく、自治体が運営主体となる「自治体ライドシェア」を推進したい考えで、地域振興や観光客誘致につながるとも考えられています。

 昨年12月には全国108の市町村が参加する「自治体ライドシェア研究会」が発足。政府に具体案を提言していくことになりました。

「活力ある地方を創る首長の会」によると、全国21の市町村が自治体ライドシェアの実現に向けた検討を始めており、このうち石川県小松市、富山県南砺市、京都府舞鶴市、大分県別府市、熊本県高森町の5市町では導入方針が固まっています。石川県小松市は3月29日から自治体のトップを切って事業を開始しました。