(英エコノミスト誌 2021年6月12日号)

自由で開かれたインド太平洋戦略の任務に就く米空軍のB-52戦略爆撃機(グアムのアンダーセン空軍基地、5月7日撮影、米空軍のサイトより)

民主主義国4カ国による非公式の軍事連合は気概を示さねばならない。

 何年もの間なかなか軌道に乗らなかった安全保障の枠組み「クアッド」が、ここ数カ月間でようやく存在意義を手に入れつつあるように見える。

 なぜか。

 特に目立つのは、主要7カ国(G7)のメンバーではないオーストラリアとインドが6月11~13日に英国で開催されるG7首脳会議(サミット)に招かれ、メンバーである米国、日本に加わることだ。

 今年3月にジョー・バイデン米大統領の呼びかけで開かれたクアッドのオンライン首脳会議は、同大統領が最初に行った外交活動の一つだった。

 これについては、対面式の初のサミットを年内に開こうという話も出ている。

 その一方で、米連邦議会も自らの権威を用いて、中国に対抗するための法整備を支援している。そのなかには、軍事やテクノロジー関連の協力強化によってクアッドを支援するものも含まれている。

 なぜなら、クアッドの新しい存在意義はあらゆる面で中国と関係があるからだ。

 40年間にわたる関与政策にもかかわらず、中国は友好的にもなっていないし穏健化もしていないとの指摘が一部にある。

 かつて米国政府高官としてインド太平洋政策に関与し、現在はワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターに籍を置くリサ・カーティス氏は、中国の競争力は「軍事、経済、外交、テクノロジーの分野において高まった」と述べている。