ベルリンのトラック突入、拘束されたのは亡命希望者の男性

ドイツ・ベルリン中心部で開かれていたクリスマス市に突っ込んだトラック(2016年12月20日撮影)。(c)AFP/Tobias SCHWARZ〔AFPBB News

 日本では、凄惨な事件が起きた現場などを、タブーとしてオフリミットに置くことが多いように思います。

 さて、ところ変わってヨーロッパではどうでしょうか?

 2016年12月19日、クリスマスで賑わうドイツのベルリン中心部、カイザー・ヴィルヘルム教会脇で発生した無差別テロ事件。

 ポーランド籍の巨大トラックがクリスマス・マーケットに突っ込み、犠牲者12人(射殺された犯人を含む) 負傷者56人の大惨事となりましたが、この現場はいまどうなっているかと言うと・・・。

 8月6日から12日にかけて「ヨーロッパ陸上競技選手権大会」のイベント主会場になっています。

「欧州陸上へようこそ!」

 トラックが突っ込んで来た、まさにそのルートには「ウエルカム!」と記されたゲートが設えられています。

 大惨事が起きた現場は、子供たちが遊べる遊具が設えられていました。

 「私たちは決してテロの脅威に屈しない。ここで自粛などしたら、彼らの思う壺だ」

事件現場は子供たちの遊具ゾーンに

 「むしろより高らかに、スポーツと平和の祭典を、この現場で行うことこそが、慰霊と再発防止の最高の実現になる」

 というのが、ドイツ側の考え方であり、市民もそのように考えています。日本社会とは相当の開きがあると言えそうです。

 ちなみに、強調するまでもないと思いますが、ありとあらゆるテロ対策が、万全に講じられていることは言う迄もありません。

 莫大なコストもかけていることでしょう。

完全に封鎖されたテロリストの侵入経路

 日本人の一般常識からすると、やり過ぎとも見えるかもしれない、かなり強烈なアピールですが、ドイツは「プロテスタント」抵抗の宗教改革で国民性を養ってきた社会です。

 それが悪く出ると、1930年代のような展開もあったわけですが、「テロリストの蛮行に屈しない」という陽性の反応には、学ぶべきところが多々あるように思います。