中国の中間層が香港に投資

 不動産賃料高騰のもとをたどると、大陸からの不動産投資の増加に行き当たる。香港市民は「大陸からの投資が香港の住宅価格を高騰させた」と不満を隠さない。

 かつては香港の不動産を狙っていたのは大陸の富裕層だった。だが現在、香港投資のメインプレーヤーは大陸の中間層である。大陸の中間層が香港に目を向ける理由はいくつかある。1つは、大陸よりも住宅ローンの利率が低いからだ。また、大陸では「限購令(住宅の購入規制)」などマクロ調整が行われているため、事業用不動産が購入しづらくなっている点も挙げられる。

 さらに注目すべきは、大陸の住宅の価格が香港並みに上昇している点だ。香港に投資する大陸の中国人といえば、これまで大手企業経営者や芸能人などの富裕層が主役だった。投資家が中間層にシフトしていったのは、大陸の手持ちの物件価格が香港の住宅価格とほとんど変わらなくなってきたためだ。

 しかも、投資利回りは大陸より香港の住宅のほうがずっといい。800万香港ドル(約1億1300万円、1香港ドル=14.14円)相当の物件があるとすると、上海なら月賃料は5000~8000元(約8.6万~13.8万円)程度しか入らない。一方、香港なら1~2万元(約17.3万~34.5万円)で貸せるという。同じ“大家稼業”を営なむならば、潜在的な住宅難を抱える香港のほうがずっと利回りを叩き出せるというわけだ。

 さらに為替の要因もある。筆者は香港の街中の両替商で、1800人民元を2200香港ドルに交換した。人民元と香港ドルの交換比率は1:0.82である。「香港ドル安」によって、大陸の中国人にとって香港の住宅は割安感を帯びている。

 香港の不動産市場は過去10年、一貫して上昇している。2015年から2016年にかけて一度下落したが、以上の状況を背景に大陸から資金が流れ込むようになり、住宅価格は再び上昇を始めた。巷では「香港の住宅は過去10年で3倍に上がった」とも言われる。2017年、香港の不動産の取引価格の最高値は1平方フィートあたり13.2万香港ドルをつけた。日本円で坪あたりに換算すれば、なんと6600万円である。

香港の不動産屋の店頭