近年、中国軍の戦闘機による日本への領空侵犯が増加しており、その意図や動向に関する議論が高まっています。そして同時に注目が集まっているのが、中国の戦闘機自体の性能です。特に中国が独自開発したと誇示するステルス戦闘機については、公開情報が少ないこともあり、各方面で分析が進められています。
今回は、現在の中国空軍および海軍が保有する戦闘機について、開発系譜をまとめてみました。特に高い関心が寄せられているステルス機2機種については、市販のプラモデルを参考にしながら、構造の特徴などを紹介したいと思います。
ライセンス生産から“独自”開発へ
中国の戦闘機開発の歴史は、ソ連製戦闘機「MiG(ミグ)」シリーズのライセンス生産に端を発します。中ソ蜜月時代には「MiG-15」「MiG-19」というソ連製戦闘機がそれぞれ「J-5」「J-6」(中国名「殲-5」「殲-6」。以下、「殲」の字は「J」と表記)としてライセンス生産されていました。しかしその後の中ソ対立により、これらに続く「MiG-21」のライセンス生産は中止されました。
ライセンス生産が中止されたことで、中国の戦闘機はここから一旦、独自開発の道を歩みます。まず残されたMiG-21の部品をもとに「J-7」を完成させると、これを発展させた「J-8」「J-8Ⅱ」を開発し、冷戦終了頃まで主力戦闘機として運用していました(下の図と表)。
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