羽田空港の外国人観光客(2018年5月、筆者撮影、以下同)

 中国の配車アプリを使って、自家用車が無許可で観光客を送迎する空港の白タク。昨年(2017年)からマスコミに頻繁に取り上げられ、警察も積極的に取り締まるようになった。その白タクが徐々に姿を消しつつある。

 2017年夏、羽田空港国際線ターミナルの1階出口には、「駐車禁止」の立て看板を無視した白ナンバーの乗用車がずらりと並んでいた。それらの車に、中国人を中心とした観光客が続々と吸い込まれていく。いずれも白タクである。客を乗せた白タクは正規料金の半分以下の値段で観光客を送迎。中には観光客の全旅程の面倒をみる運転手もいた。

 道路運送法違反に当たる白タク行為は、3年以下の懲役か300万円以下の罰金を課せられる。だが、彼らは悪びれる様子もなく白昼堂々と客を乗せていた。運転手の多くは中国人だった。

 関西空港や那覇空港ですでに顕在化していた白タク問題が羽田空港で騒がれるようになったのは、昨年の秋口に入ってからのことだった。夏の時点では、タクシー業界も警察も問題意識はまだ希薄だった。だが、配車アプリを使って誘客する中国系白タクの実態が明らかになっていくにつれ、警戒を強めていく。特に危機感を抱いたのが大手タクシー会社だった。タクシー会社のある管理職は「白タクには断固反対という強い姿勢で、関係省庁に申し入れを行った」と振り返る。

 そして昨年末から、国土交通省関東運輸局と警視庁などが羽田空港の白タクを厳しく取り締まるようになった。国土交通省関東運輸局によると、「昨年12月には、国際線ターミナルの降車場で自家用車の運転手に声掛けを行い、今年2月には到着ゲートで旅行者を対象に啓発活動を実施した」。

羽田空港国際線ターミナルの1階出口付近を取り締まるパトカー