原油価格70ドルが生命線、苦境のサウジの秘策とは

“あの新技術”に白羽の矢、国内の軍需産業育成も急務

2018.03.02(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52468
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 巨額の投資を必要とする深海油田プロジェクトも例外ではない。ブラジル国営石油会社ペトロブラスによるブラジルの「リブラ2」(総工費100億ドル)や、シェルによるナイジェリアの「ボンガ・サウスウェスト」(同122億ドル)などが今年中に承認される見込みである。

協調減産の効果がなくなるのは時間の問題

 国際エネルギー機関(IEA)は2月21日、「2020年までの世界の原油需要の伸びは、OPEC非加盟国(北米やブラジル、メキシコなど)からの供給拡大で賄えるかもしれない」との見方を示した。

 このことは逆に、OPECをはじめとする主要産油国が当初計画よりもかなり長期に減産を継続せざるを得なくなる可能性が生じていることを意味する。

 OPECをはじめとする主要産油国からは、協調減産の枠組みが失効する2019年以降についてもなんらかの対策が必要であるとの発言が相次いでいる。2月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は「主要産油国は長期的な協力体制を維持するため新たな合意の準備をしている」と述べ、OPECのバルキンド事務局長も「現在の協調減産合意への参加国を組織化するために新たな合意の草案を準備している」と発言した。これらは、市場で「主要産油国は来年以降も協調的な行動を続ける」との期待が高まっていることを踏まえた発言である(OPEC事務局長は3月5日に米国のシェール企業幹部とヒューストンで夕食会を計画している)。

 だが、OPECでは具体的な構想は策定されていないだろう。シェールオイルや海底油田開発による増産で現在の協調減産の効果がなくなるのは時間の問題であり、仮に合意がなされたところで現在よりも緩い形であれば、「失望売り」を招くだけだ。

 昨年半ば以降の減産努力が半年後の年末に原油価格上昇を招いたことにかんがみれば、足元の原油市場の需給の緩みの影響は、半年後の今年後半に「原油価格の下落」という形で現われる可能性がある。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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