原油価格70ドルが生命線、苦境のサウジの秘策とは

“あの新技術”に白羽の矢、国内の軍需産業育成も急務

2018.03.02(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52468
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 絶望的とも言える資金不足を解消するため、ベネズエラ政府は2月20日、仮想通貨「ペトロ」の発行を開始した。ベネズエラ産原油に裏付けられているとされる「ペトロ」は約1億枚発行される予定である(ただしベネズエラ政府はペトロとベネズエラ産原油の交換を保証していない)。価格は1ペトロ=約60ドル(現在の世界の原油価格の平均に相当)とされているが、米国の制裁に抵触する恐れから及び腰となっている機関投資家に対して最大60%の割引価格(1ペドロ=24ドル)が提示されているという(2月21日付日本経済新聞)。これにより確保した資金でマドゥーロ大統領は「原油生産量を日量25万バレル引き上げる」と主張している(2月15日付OILPRICE)。だが、1300億ドルとも言われる政府の借金に対して10億ドルの資金調達では「焼け石に水」である。

 筆者は原油価格に相当するとされる1ペトロの市場価値が実質的に20ドル台だったことに注目している。破綻国家に近いベネズエラ政府の信用失墜を割り引いたとしても、原油価格の上昇期待があればもっと高く売れてもよかったはずだ。このことをもって「原油価格が1バレル=20ドル台まで急落する」と予測するつもりはないが、原油価格は現在をピークに今後下落する可能性が高いのではないだろうか。

新規プロジェクトが続く海底油田開発

 昨年から実施している主要産油国の協調減産の効果を帳消しにする規模にまでシェールオイルが増産されたことは承知の事実だが、市場関係者の間ではシェールオイルに加えて海底油田開発にも注目が集まっている(2月14日付ロイター)。

 米エクソン・モービルや英蘭シェルなどの世界的な石油会社は、メキシコ湾などで海底油田開発に利用する鋼鉄製プラットフォームの建設をシンプルかつ迅速にすることにより、シェール油田の経済性に対抗できるようになったからだ。新規プロジェクト承認の条件は「原油価格が1バレル=40ドルでも利益が出る」ことだが、それでも承認件数は昨年の29件から今年は約40件に達し、個別プロジェクトの規模も拡大するようだ。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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