地域エネルギー事業で地元にお金を回せるか?

地域経済効果を高めるための事業形態とは

2018.03.09(金) 小川 祐貴,稲垣 憲治
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52416
  • 著者プロフィール&コラム概要

地域新電力によるお金の地域内循環

 次に、地域新電力から電気を購入することで、電気料金の「(3)一般管理費」及び「(4)電力会社の利益」を地域に循環させることができます。地域新電力は、地域の再生可能エネルギーなどを調達して、地域を限定して電気を供給する電力会社のことで、電力全面自由化を受けて全国的に広がり、自治体の関与しているものだけでも全国で約30に上ります。

 この地域新電力による地域経済効果(=地域の利益)についても先ほどと同様に算出したところ、以前(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50144)ご紹介した、みやまスマートエネルギー*3の事業では、年間の地域経済効果は約1億円となりました(2017年度事業計画で算出)。

 また、事業形態による地域経済効果の影響を比較するため、仮に地域資本が10%のみで従業員が全て地域外に在住する場合を計算したところ、実際の値の約10分の1となってしまうことが分かりました。

*3:福岡県みやま市及び地域企業の出資により設立され、契約電力は約36MW(平成29年7月時点)と自治体が出資する地域新電力では日本最大級。約50名の従業員はほぼ全員が市内在住。自社で需給管理を実施するとともに、電気事業と併せ高齢者向け見守りサービスなど各種生活サービスを提供。

事業形態で地域経済効果は大きく変わる

 このように、再生可能エネルギー事業や地域新電力における地域経済効果は、その事業形態によって大きな差が生じます。

 このことから、単に地域エネルギー事業を行えば大きな地域経済効果が生まれるわけではなく、事業形態をどうするかが大切であることが分かります。特に、「地域による出資」「業務の内製化(地域雇用)」が地域経済効果のためには、極めて重要であることが分かります。

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小川 祐貴

(おがわ・ゆうき) 平成30年3月京都大学大学院地球環境学舎博士課程修了。博士(地球環境学)。京都大学「再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と地域的な経済波及効果に関する研究プロジェクト」にて、地域主体が自らエネルギー事業に参入することが、地域にとってどのような経済的メリットがあるのかを定量的に示す「地域付加価値創造分析」に取り組む。株式会社イー・コンザル研究員として自治体のエネルギー・環境政策の策定支援にも関わる。
 

稲垣 憲治

(いながき・けんじ) 文部科学省原子力計画課などを経て、現在、東京都庁環境局職員。5か国10都市で先進都市の再生可能エネルギー普及策を現地調査。環境・エネルギーへの思いが高じて業務時間外に京都大学プロジェクト研究員としても活動中。自宅の電気は、もちろん再生可能エネルギー(FIT)率の高い電気を使用。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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