「遺伝子組換えでない」と言える混入率は何%まで?

「遺伝子組換え表示」改革を巡る消費者と生産者のせめぎ合い

2018.02.23(Fri) 佐々 義子
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5パーセント以下の混入に「分別」の提案も

 また「遺伝子組換えでない」表示について事務局から新しい提案があった。5パーセント以下の混入に対しては「分別(遺伝子組換えでない原料を分別流通管理した)」とし、「αパーセント」以下のものだけに「遺伝子組換えでない」と表示できることにするというものだ(αは別途設定する許容率)。ただし、これらは任意表示とするという。任意表示であるので、間違えて表示しても罰せられることはない。

 5パーセント混入していても「遺伝子組換えでない」と表示すると、まったく含まれていないと誤認を招く。欧州連合(EU)の閾値(=α)は0.9パーセントであり、日本の「遺伝子組換えでない」表示の基準は世界のそれからもずれている。そこで、消費者団体だけでなく、研究者からもαを「ゼロ(検出限界以下)」とする意見が出てきた。

「遺伝子組換えでない」表示についての新しい提案。第8回遺伝子組換え表示制度に関する検討会 参考資料2を参考に作成。
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 しかし、産業界などからは、17年間違反なくこの表示制度が守れたのは、閾値が5パーセントという実現可能な値であるためだという声も上がった。5パーセントルールのもと、分別流通管理のためにコストをかけている事業者は、少しでも混入率の少ない食品を消費者に届けることができたのだという意見も出た。

 食品メーカーにとって、栄養成分表示、原料原産地表示、今回の遺伝子組換え表示と毎年、表示の仕方が変わることへの対応の負担は、猶予期間があっても小さいものではない。ゼロという厳しい基準になったら、中小の豆腐屋さんや煮豆を扱う惣菜屋さんは対応できるだろうか。世界中から原料を調達して安定供給を実現している大企業にとっても負担であることは違いない。

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(さっさ・よしこ) NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事。博士(生物科学)。NPOでは、バイオテクノロジーと人々の暮らしを切り口にしたサイエンスコミュニケーションの実践と研究を行っている。ことに「バイオ」に特化したサイエンスカフェ「バイオカフェ」を企画、実施してきた。神奈川工科大学客員教授。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。


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