このとき誰が6代将軍職に就いたとしても、結局は戦国時代が到来していたはずで、歴史の流れは押しとどめることができなかったとは思います。

 でもその「くじ引き」で、誰が当事者となり、結果的に因果なことになるか、の選択は、各自が主体性をもって選び取って行った方が、個人にとっては幸せだったのではないかと思います。

おみくじはAIと相容れない

 さて、このおみくじですが、いま神社の類でこれを引くと「大吉」「末吉」「凶」といった運勢が一つ確定的に示されます。

 こういう考え方が「21世紀に妥当か?」と問われれば、あまり流行ではない、と答えるのが正確と思います。

 おみくじは確率的に引き当てるものですが、その結果「真の運勢が1つに定まる」という考え方は、とても古典的なものと言えます。

 これに対して、2010年代に流行しまくっているディープラーニングが端的な現代統計、ベイジアンなどの考え方は、真の値を1つに定めず、分布を考えます。

 これは天気予報の変化を例に挙げると、少し似たところがあります。私が子供の頃、高度成長期の日本では、お天気予報は「晴れ」「雨」「曇り」「雪」といった形で示されていました。

 それが、気象衛星などを用い、正確な情報の知見が増えるにつれて、「降水確率40%」といった表現に変化していった。

 今日、私たち人類が知り得る情報は、年々爆発的に増大しているわけで、それに従って「天気予報」も「おみくじ」も、運勢を一点の真値で示すより、分布として提示する方が、よりリアルな予言に近づくことになる。

 AI大明神に詣でておみくじを引くなら「大吉の確率30% 中吉の確率40% 凶の確率20% 大凶の確率10%」なんて御託宣が出た方が、現実に即している可能性が高い。

 これだと判断ができなくて困るという政治家は、すでに頭が20世紀以前で固まっているので引退した方がいいでしょう。