最近のシェール業界では、これまで外部資金の借入を頼りに「掘削」してきたことへの反省が生まれ、採算を重視しよう、すなわち生産から得られるキャッシュフローの範囲で配当を行い、余剰がある場合に「掘削」しようという機運に変化している。

 一方、スーパーメジャーのうち「エクソンモービル」や「シェブロン」のようなキャッシュ(手元資金)が豊かなプレイヤーがシェールに注力しているので、油価の変動に影響されずに掘削計画を推進する力となっていることも無視できない。

 つまり、油価が上がるとシェールオイルが増産される、というこれまでの「常識」は見直しを要求されているのだ。

ロシアは減産を遵守するのか

 さらに、ロシアが本当に減産を遵守するかどうか。

 ロシアの非国営石油の中には、2018年中に新規に生産開始をするプロジェクトを抱えているところがいくつかあるからだ。たとえば、日本勢も関与している「サハリン1」プロジェクトも増産計画があると伝えられている。

 また、ロシアの2017年国家予算は、原油価格50ドルを前提としている。最近発表になったロシアの半国営天然ガス会社「ガスプロム」と石油大手「ルクオイル」の第3四半期決算も、前年同期ほぼ倍増の利益を計上している。

 ロシアは間違いなく、価格の急激な上昇は望んでいない。

 したがって、減産を遵守しないインセンティブは十分にある。

 一方、2018年中に「サウジアラムコ」のIPO(新規株式公開)を実行したいサウジアラビアは、減産を維持し価格回復を優先したいのだろう。

 また、過去3年間、資本投資が大幅に減少していることは、間違いなく将来の供給逼迫化の原因たりうる。

 ううむ。

 悩ましいが、2018年前半は季節要因で需要が低迷するために上がらないが、6月に協調減産を破棄する、あるいは緩和しない限り、年末に向けて上がり始めるのだろう。

(と、素人が思うと、市場参加者たちが先取りして、その前から上がり始める、かも?)

岩瀬昇
1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』(文春新書)、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』(同)、『原油暴落の謎を解く』(同)がある。