イラン首都で反イスラエル・デモに参加する人たちイラン首都で反イスラエル・デモに参加する人たち(写真:AP/アフロ)

ついに中東の軍事強国同士が直接対決か

 イスラエルによるイランへの「反撃」がついに始まったのだろうか。2024年4月19日早朝(現地時間)、イラン中部のイスファハンの軍事施設がイスラエルの攻撃を受けた、と欧米や地元イランのメディアが一斉に報じた。

 イラン政府も攻撃された事実を認め、ドローン3機が奇襲を試みたが、被害はほぼなく、同市近郊にある核関連施設も無傷と念押しする。

 一部の欧米メディアは「イスラエルが攻撃」と断言するが、イラン側は慎重に言葉を選び、「自国内から発進した小型ドローンによるもの」とし、不思議にもイスラエルの関与については、意識的に触れようとしない。

 これとは逆に、アメリカ政府は「イスラエルが攻撃した」と発表。“敵”のイランとは対照的な姿勢を見せるが、肝心のイスラエルは関与について一切口をつぐんだままだ。

 一方、一部の米TV局は「イスラエル空軍の戦闘機がミサイルを発射し、同市近くにある重要な核関連施設のレーダー設備を狙った」と報じるなど、情報が錯綜している。

 今回の攻撃が仮にイスラエルの仕業だとすると、発端は約3週間前の4月1日までさかのぼる。この日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館が空爆され、イラン革命防衛隊の大物幹部ら7人が死亡した。

シリアのイラン外交施設に空爆 イラン革命防衛隊幹部ら死亡(写真:ロイター/アフロ)

 イスラエルは関与を曖昧にするが、イランは「イスラエルの仕業」と激怒し、報復攻撃を決意。4月13~14日に弾道ミサイルや巡航ミサイル、ドローン約320発を使い攻撃した。

 イスラエルは、国産のアイアンドーム地対空ミサイルや戦闘機で迎え撃ち、米英仏も戦闘機や(対空)ミサイル駆逐艦で加勢。イスラエルの隣国・ヨルダンも領空侵犯のドローンを撃墜した。最終的にミサイル、ドローンの99%はたたき落とされ、イスラエル側の被害もわずかだった。

イランの報復攻撃でも多数のミサイル、ドローンを撃墜した“守護神”、イスラエル国産のアイアンドーム対空ミサイル(写真:イスラエル国防軍Facebookより)

 イスラエルもすぐさま反撃を宣言。「やられたら、やり返す」「やられる前に、やっつける」のお国柄だけに、「倍返し」は必至と見られた。

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